立花響バースデースペシャル
雨の上がった世界
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
・姉としての苦悩
私の名前は風鳴翼。私立リディアン音楽院の3年生にして、アーティスト活動を営む18歳。その傍ら、特異災害対策機動部二課所属のシンフォギア装者としてノイズと戦い、世の陰から人々を守るのが務めだ。
そんな私は今、その特異災害対策機動部二課の職員寮までやって来ている。
今日、ここへとやって来た理由はひとつ。最近、自身が通う学園の寮を引き払い、此処へと移り住んだ可愛い弟……翔の様子を見るためだ。
二つ歳下の弟、翔は姉妹校である私立アイオニアン音楽院の1年生。私の事を自慢の姉だと誇ってくれる、婿にやるのが勿体ないくらいの弟だ。
大抵の事はソツなくこなす弟だが、まさか、思い立って一人暮らしを決意するとは……。
職員寮には藤尭さんや、顔見知りの職員もいるから、寂しがっては居ないだろうが……それでも、やはり姉としては心配だ。
と、いうわけでいざお宅訪問!推して参るッ!
チャイムを鳴らして返事を待つ。しばらくして、ドアが開けられた。
「翔、元気にして──なッ!?」
ドアを開けて現れたその人物に、私は驚いて飛び退いた。
何故なら、ドアを開けて私を出迎えたのは弟ではなく、まさかの人物だったからだ。
「どちら様……って、なんだ。翼さんか……」
「立花ッ!?」
「翔ならお昼作ってるとこ……。何か用?」
「な……な……何故お前がここに居るッ!?」
「……何故も何も、ここはわたしの帰る場所なんだけど……」
その言葉に、私は余計に困惑した。
「どっ!どどどど同棲、だとぉ!?」
取り敢えず、昼食を馳走になった後、私は向かいのソファーに座る翔からその話を聞き、思わず叫んでしまっていた。
「うん。姉さん知らなかったの?」
「まっっったく聞き及んでいなかったぞ!私はただ、お前がこの職員寮に移り住んだという話しか……」
と、ここまで言って気が付く。そういえば、私に翔の引越しを教えてくれたのは……。
緒川さあああああああああんッ!あなたの仕業かぁぁぁぁぁぁぁぁッ!
いつもと変わらない微笑みを浮かべながら謝罪してくる顔が浮かんだ。あなたって人はぁぁぁぁッ!
「……ま、まあいい。確かに、立花の件については聞き及んでいる。お前が支えてやろうと言うのも頷ける。……頷けるのだが……ッ!」
私の視線は翔から、そのすぐ隣へと移る。
「お前達、近過ぎるだろうッ!」
そこに座っているのは……いや、ただ座っているどころか、これ見よがしに翔の左腕にくっついているのは、ようやく特異災害対策機動部二課へと正式に加入した元はぐれ装者。立花響だ。
今日もいつもと同じグレーのパーカーに身を包み、相変わらずのジト目をこちらに向け
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ