第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第62節「流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして──」
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飛鳥、流星もまた、空を見上げて驚いていた。
「夢じゃないんだね……!?これは、現実なんだね……ッ!小日向さん、空をッ!」
「ヒナ……ヒナッ!上を向いてッ!ほら、ヒナッ!」
「いやッ!わたし1人でこんな流れ星なんか見たく──」
恭一郎と創世に促されるも、悲しみのあまり顔を上げようとしない未来。
しかし次の瞬間、地面へと何かが降り立った足音と共に、光が弾けるのが見えた。
顔を上げる未来。その目に飛び込んで来たのは……。
「よッ……っと、おっとと……」
「っと……大丈夫か?」
「……え?あ……あああ…………ッ!」
大気圏外から無事に生還してきた、五人の装者だった。
「え、えへへ……よく分からないけど、無事だったみた──」
「響ぃッ!」
次の瞬間、未来は響の元へと駆け出し、思いっ切り飛び付いた。……隣の翔も一緒に引き込んで。
「──わああああッ!?いたた……もう、未来ったら……」
「──のわあああッ!?こ、小日向……加減はしてくれ……」
「ご、ごめん……嬉しくて、つい……」
未来に飛び付かれて転けた二人は、顔を見合わせて笑った。
「……ただいま、未来」
「言ったろ……必ず戻るって」
「うう……おかえり……おかえりなさッ……うッ、うううぅッ!」
二人の間で、こぼれ落ちる涙の意味が変わっていく。
響はそんな未来をしっかりと抱き返し、翔はそっとその頭を撫で続けるのだった。
「いいのか、キョーちゃんよぉ」
「空気を読んでいるのさ。今は黙っているべき時なんだよ、常にうるさい君と違ってね」
「おうテメェもっぺん言ってみやがれ!」
「紅介、落ち着くんだ!」
「流れ星……いや、月の欠片だから……流れ月?」
おちょくるように肩にもたれかかる紅介に、恭一郎は溜息を吐きながらクールに返す。
喧嘩腰になった紅介と恭一郎の間に割って入る兄を他所に、流星はそんな事をぽつり、と呟くのであった。
「……司令」
「カッコつけておいて、悪いんだけどよ……えっと……。……って、言葉に困るなこりゃ」
「何て言ったらいいのか……。あ、RN式は見ての通り、限界を超えた稼動の影響で……その……」
翼とクリスは言葉に困りながら、純は煙を上げてパージされ、地面へと転がったプロテクターを見ながら申し訳なさそうにそう言った。
「翼、クリスくん、純くん……今は、何も言うな。奇跡を語るのに言葉などは無粋だッ!」
とても嬉しそうに、そして安堵したように微笑みながら、弦十郎はそう言った。
「ふ、へへ」
「ははっ、それもそうですね」
「フフ」
「翼さん……」
弦十郎に釣られて笑う三人。そこへ、緒川も歩み寄る。
「……緒川さん。ご心配をおかけしました」
「今回ばかりは、僕もヒヤヒヤしましたよ」
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