第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第62節「流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして──」
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めないでッ!」
そう言って微笑むと、響は助走をつけ、再びその羽を広げると飛び立って行った。
「ぁあ……響……ッ!」
すると、未来の肩に手が置かれる。振り向くと、そこには翔が何かを告げるような眼差しでこちらを見ている。
「……待っててくれ。必ず戻る」
翔は未来の肩から手を離すと、未来の手に黄金の欠片を握らせる。そして響の後に続くように走り出し、天高く飛び立った。
「……響……翔くん……」
二人が命を懸けて成し遂げようとしている、人生最大の『人助け』。
未来は空へと消えて行く後ろ姿を、涙と共に見送った。
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl──」
雲を突き抜け、大気を越えて、地球の外へと飛び立って行く。
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl──」
その唄は遥か地上に残った者達にも、一言一節、ハッキリと聴こえていた。
『ごめんね翔くん……付き合わせちゃって……』
『気にするな。あの日、言っただろ?俺は響と同じ空を見ていたいんだ……たとえ、それが宇宙だろうと関係ない。だって宇宙に変わりはないからな』
響の隣で、翔はそう言ってはにかんだ。
それを聞いて響は、安心したように微笑み返すと、翔の手をそっと握った。
『──そんなにヒーローになりたいのか?』
『あ……』
『姉さん!?雪音に純まで……!?』
突然の声に振り返ると、そこには……地上から追ってきた仲間達の姿があった。
『こんな大舞台で挽歌を唄う事になるとはな。立花には驚かされっぱなしだ。それに着いて行く翔の行動力にもな。お前はまさしく、益荒男だとも』
『親友が世界を救う為に、大切な人とたった二人で命張ろうとしてるんだ。黙って見てると思っていたのかい?ねえ、クリスちゃん』
『まあ、一生分の歌を唄うには、丁度いい場所なんじゃねぇのか?』
『あ……ふふッ!』
『やれやれ……やっぱり何処までも防人で、何処までも王子様なんだな……。でもそれでこそ、俺の自慢の姉さんと、俺が知る中で最ッ高の親友だ!』
五人は並んで笑い合うと、それぞれのパーソナルカラーを軌跡と描き、向かってくる月の欠片へと羽ばたいた。
「不思議だね……静かな
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