第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第62節「流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして──」
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らかに宣言する。
トンッ……
寸止めされていた拳が、フィーネの胸元に軽く当たった。
一迅の風が吹き抜け、フィーネの長い金髪が広がる。
「────あ」
「……うん、そうですよね。何処かの場所、いつかの時代、蘇る度に何度でも。わたしの代わりに、みんなに伝えてください」
響は拳を下ろすと、フィーネの顔を真っ直ぐに見つめて言った。
「世界をひとつにするのに、力なんて必要ないってこと。言葉を越えて、わたしたちはひとつになれるってこと。わたしたちは、未来にきっと手を繋げられるということッ!……わたしには、伝えられないから。了子さんにしか、出来ないからッ!」
「お前……まさか……」
微笑む響に、フィーネはその意図を察して驚く。
「了子さんに『未来』を託すためにも、わたしが『今』を守ってみせますねッ!」
(──響、ちょっとそこ退いてくれ)
その時、響の脳内に翔の声が響いた。
「え……?」
(翔くん何を……)
(まだ手を伸ばせる人が、もう一人だけ残ってる。その人を助けさせて欲しい……)
(わ、わかった……)
響がフィーネの前から横へと逸れた、次の瞬間だった。
「……Emustolronzen fine el zizzl──」
「ッ!?翔くん、それって!?」
次の瞬間、フィーネの胸の中心部に深々と、一本の矢が突き刺さった。
矢の飛んできた方向を見る響。そこには、生弓矢の絶唱を解き放ち、アームドギアを下ろす翔の姿があった。
「翔くん!どうして……」
「落ち着け響。この力は……生弓矢は壊すだけの力じゃない。『生命』を司る聖遺物だ」
「え……それって……?」
響がフィーネの方を振り返ると、フィーネは苦悶に顔を歪めてはいなかった。
むしろ、突き刺さった矢から流れ込む力に驚いているようですらある。
「生命を司る生弓矢。その力は死者をも甦らせる、と伝わっている。フィーネ、あんたに消された“了子さん”を返してもらおうか。その肉体は、元々あんたのものじゃない」
「……そうね……。なら、その前に……」
フィーネは先程までとは打って変わり、穏やかな表情で装者達を交互に見回す。
「クリス……いままでごめんなさい……。あなたには、辛い思いばかりさせてしまったわね……」
「あ……。……い、今更謝られたって……許して……やるもんかよぉ……」
涙声になりながら意地を張るクリスを見て、フィーネは微笑む。
「爽々波くん……クリスをお願い。……辛かった日々の分まで、その子を愛してあげて頂戴……」
「フィーネ……。分かりました……約束します。クリスちゃんは僕が、幸せにしますよ……」
純の言葉に、フィーネは満足したような表情で
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