第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第62節「流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして──」
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クリスちゃんとの約束を、守らせてくれて。そして……僕とクリスちゃんを、出逢わせてくれて。本当に、ありがとうございます」
「…………」
見当違いだ、と言い返す事も出来たはずだ。だが、フィーネは言い返すことも無く、ただ黙って顔を背けて夕陽を見つめた。
「人が言葉よりも強く繋がれること。分からないわたしたちじゃありません。だから了子さんももう一度だけ、信じてみませんか?」
響はそう言って、フィーネの方へと歩み寄って行った。
「……ふう。………………──でああぁぁッ!」
「──ッ!?」
ひとつ、溜息を吐いたフィーネは、カッと目を見開いて振り返ると、その鎖鞭を勢いよく伸ばした。
不意打ちでこそあったが、難なく躱した響は拳を突き出し、フィーネの胸元で寸止めした。
「了子くんッ!もうよせッ!」
「私のォォッ!勝ちだああああああッ!」
「え……あッ!?」
響が振り返ると、鎖鞭の狙いは最初から自分では無いことに気が付いた。
勢いよく、空へとどんどん伸びていく鎖鞭の向かう先には……砕けた月が白く輝いていた。
「──まさかッ!?狙いは……」
「もう遅いッ!でぇああああああああッ!」
鎖鞭が月の欠片へと突き刺さる。フィーネは己の立つ地盤を砕きながら、それを力任せに背負い投げる。
鎖鞭が抜け、地上に戻ってくる頃……月の欠片はその軌道を地球へと向けていた。
「月の欠片を落とすッ!」
「なッ、なんだとッ!?」
「お、おい、なんてデタラメだ……ッ!月を……引っ張りやがったのかッ!?」
翼とクリスが空を見上げ、あまりにも突拍子もないフィーネの悪足掻きに目を見開く。
「諦めきれるものかッ!私の悲願を邪魔する禍根はッ!ここでまとめて叩いて砕くッ!この身はここで果てようと、魂までは絶えやしないのだからなッ!聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇るッ!どこかの場所ッ!いつかの時代ッ!今度こそッ!世界を束ねる為にぃッ、ハッハハッ!」
「それがあなたの本当の望みなんですかッ!?」
純は、狂気に満ちた笑みを浮かべるフィーネへと叫んでいた。
「大切な人に想いを伝えたくて始めたんでしょう!?それがどうして人類を支配する事に繋がるんですかッ!?」
「相互理解を失い、殺し合う事でしか……痛みでしか繋がれなくなった人類など、あの御方が悲しむだけだッ!なら、私は統一言語を取り戻すと共に、間違った方へと進んでしまった人類を束ねてみせるッ!あの頃の人類へと、もう一度……ッ!その為にも私は滅びぬ!私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネなのだぁッ!」
限界を迎えたネフシュタンが崩れていく。棘は折れ、肩鎧は地面に落ち、頭を覆っていた装飾も既に外れている。
それでもなおフィーネは次の輪廻こそは、と声高
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