暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第61節「Synchrogazer」
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な立花。お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれッ!」
「お前を信じ、お前に賭けてんだッ!お前が自分を信じなくてどうすんだよッ!」

 更にそこへ、クリスの肩に手を添えた純が加わる。
「仲間が、友達が、君が助けた人達が!何より、君を愛する人が傍にいるッ!だから負けるなッ!」
「グう、うウウううゥうゥゥ……ッ!」

 再び地上から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あなたのお節介をッ!」
「あんたの人助けをッ!」
「今日は、わたしたちがッ!」
 詩織、弓美、創世の懸命な声が届く。

「負けんな!」
「進め!」
「諦めるな!」
「乗り越えて!」
 紅介、恭一郎、飛鳥、流星の熱い声がそれを後押しする。

「──かしましいッ!黙らせてやるッ!」
 フィーネは苛立ちを極限まで募らせ、羽を触手状に変化させると何度も装者達へと叩きつけようとする。
 その触手は直撃することなく、デュランダルから放たれるエネルギーに弾かれる。
 しかし衝撃は伝わるらしく、響の顔は再び影に覆われていき──
「ぐウウウウ……ッ!」

「響ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」

(──はっ)
 再び暗闇に墜ちかけた響の耳に届いたのは、未来の願いが込められた叫びだった。
(……そうだ。今のわたしは、わたしだけの力じゃない……ッ!)
「ビッキーッ!」
「響ッ!」
「立花さんッ!」
「響くんッ!」
「響さんッ!」
「「響ちゃんッ!」」
「…………ッ!」
 大切な人達が、名前を呼んでいる。期待を胸に、希望を託して、その帰りを待っている。

「この身朽ち果てても、伝えたいものがある──」
 翔の歌声が、更に大きなものになる。
 エクスドライブモードになった今、その気になれば唄いながらでも、念話で直接語りかけることも出来るだろう。
 しかし、翔は敢えてそうしない。全力全霊で唄い、奏で、胸の想いを叫び続ける。
 装者・立花響を支える為に、彼女を大切に思う人達の言葉を届ける為に、彼女に伴い生命の歌を響かせ続ける。
 その姿こそ正しく……“伴装者”。
「彼方……“翔いて”──」

(そうだ……ッ!この衝動に塗り潰されてなるものかッ!)
 次の瞬間、響を覆っていた黒い影が剥がれ落ち、胸の傷へと集まっていく。
 全ての影が剥がれた時、胸の傷は一瞬、一筋の光を放った。
 そして決意を固め、顔を上げた響の方を見て……翔は優しい歌声と共に微笑んだ。

「"だから、笑って……"──」

「…………ッ!」
 誰よりも熱く、誰よりも強く抱き締めてくれる人の声を受け、震える心を揺さぶられて、顔を上げた響の翼が大きく広がり、聖なる輝きを放つ。
 クリスは響の手に添えていた自分の手を、今度は響の肩へと添えて背後に回る。

「翔ッ!お前も来い
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