第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第60節「エクスドライブ」
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「お姉ちゃん達、カッコいい!」
女の子が真っ先に歓声を上げる。
「まさか、人生の内でこんな奇跡の一瞬に立ち会えるなんてな……まるで、本当に特撮ヒーローの世界へ足を踏み入れた気分だよ!ああ、最ッ高だ!」
「ここに集った皆さんの歌声が、諦めなかった人々の希望が起こした奇跡……素晴らしいですわッ!」
年甲斐もなくはしゃいでいるのは、サングラスの男性と金髪の女性……仲足夫妻だ。
「くぅ〜ッ!翔!純!お前ら今、世界最強レベルでカッコいいぜッ!」
「エクセレントッ!愛する人を守るため、同じ境地へと至る……。ああ、今の君達こそ、最高オブ最高の漢だよッ!」
「純……翼さん……よかった、本当に……ッ!」
「兄さん、泣くのはまだ早いよ……。本当の戦いは、ここからなんだからさ」
紅介、恭一郎、飛鳥、流星もまた、それぞれ身を乗り出して親友達を見守る。
「やっぱあたしらがついてないとダメだなぁッ!」
「助け、助けられてこそナイスですッ!」
「あたし達が一緒に戦っているんだッ!」
「……うんッ!」
創世、詩織、弓美の言葉に、未来は涙を拭いながら強く頷いた。
「みんなの歌声がくれたギアが、わたしに負けない力を与えてくれる。クリスちゃんや翼さん、純くん、そして翔くんに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない。命なんだッ!」
純白のガングニールを身に纏い、逆V字型をした黄の羽を広げた響は、明け始めた青空を背にフィーネを見下ろしながら、そう言った。
「高レベルのフォニックゲイン。……こいつは、2年前の意趣返し」
『んなこたぁ、どうでもいいんだよッ!』
クリスの声が、フィーネの脳内に直接響く。
「念話までもッ!限定解除されたギアを纏って、すっかりその気かッ!」
フィーネはソロモンの杖を取り出すと、何体ものノイズを一斉に呼び出す。
『いい加減芸が乏しいんだよッ!』
『フィーネッ!あなたという人はッ!』
『世界に尽きぬノイズの災禍は、全てお前の仕業なのか?』
翼の疑問に対し、フィーネもまた念話で返答する。
『ノイズとは、バラルの呪詛にて相互理解を失った人類が、同じ人類のみを殺戮するために作り上げた自律兵器……』
『人が、人を殺すために……?』
『その時代から変わっていない、という事か……』
響の呟きに、翔はノイズもまた、人類が生み出してしまった負の遺産だと悟る。
『バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままでな。そこからまろびいずる10年一度の偶然を、私は必然と変え、純粋に力として使役しているだけのこと』
『まったわけわかんねぇことをッ!』
『なるほど……そういう事か』
『翔、分かるの!?』
フィーネの言葉の意味を理解して頷いている翔を見て、純とクリスが驚く。
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