第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第59節「シンフォギア」
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、『歌』を賛美するフレーズから成る曲だった。
「……チッ、耳障りなッ!何が聞こえているッ!」
周囲を見回したフィーネの目に、瓦礫に押し倒されながらも完全には壊れていないスピーカーが映る。
歌はそこから聞こえていた。
「何だこれは……」
(あ……校……歌……?)
(この……声……あいつら……も……?)
沈みかけていた意識が、急速に浮上していく。
リディアンの校歌は、二人の耳を通して心に響いていた。
(……響、翔くん、わたし達は無事だよッ!二人が帰って来るのを待っているッ!だから、負けないで……ッ!)
創世、弓美、詩織ら三人を始め、シェルターに集まったリディアンの生徒達。そして歌詞を教えられたUFZの四人と共に、未来は願いを込めて歌う。
歌うという事そのものを賛美する校歌を。響が帰って来る場所を示す歌を。戦場に倒れた装者達が、命を賭けて守った人々が歌う希望の唄を。
フィーネの目に映ったものだけではなく、校庭の四隅に存在していたスピーカー全てから、校歌は戦場にどんどん拡がっていく。
止まない歌声に対して忌々しげに、フィーネは舌打ちした。
「チッ!何処から聞こえて来る?この不快な……歌……。……『歌』、だと……ッ!?」
それが『歌』だと気付いた時、フィーネは目を見開いた。
気が付けば歌と共に、無数の黄色い小さな光が粒子となり、暁の空へと立ち昇っていく。
「聞こえる……みんなの声が……」
「聴こえる……みんなの歌が……」
朝日が地上を照らし始め、二人はその手を握って拳とする。
「良かった……。わたしを支えてくれるみんな、いつだって傍にッ!」
「ああ……。まだ皆は、希望を捨てていない……諦めていないッ!」
拳を握った二人の身体に光が宿る。その胸に宿る聖遺物が、再び力強く輝きを放つ。
そして二人の目には、希望が戻っていた。
「みんなが唄ってるんだ……。だから、まだ唄える……ッ!」
「まだ、頑張れるッ!」
「「戦える──ッ!!」」
次の瞬間、二人の身体から溢れ出した力に、フィーネは吹き飛ばされた。
「──くうッ!?」
後ずさるフィーネ。顔を上げるとその先では……全身から眩いばかりの光を放ちながら立ち上がり、フィーネを真っ直ぐに見据える二人の姿があった。
「「…………」」
「まだ戦えるだと……?何を支えに立ち上がる……?何を握って力と変える……?鳴り渡る不快な歌の仕業か?……そうだ、お前達が纏っているものはなんだ?心は確かに折り砕いた筈ッ!──なのに、何を纏っている?それは私が作ったモノか?お前達が纏うそれは一体なんだッ!?何なのだあああーーーッ!?」
「「──ッ!」」
昇る朝日が照らす戦場から、五色の光が柱と立つ。
崩れたカ
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