第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第59節「シンフォギア」
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で、翔は左方へと勢いよく吹っ飛ばされ、地面を転がった。
「ッ!翔く……」
そしてフィーネはそのまま、響の横っ腹を力任せに蹴り飛ばす。
「う……」
地面を転がる響。立ち上がる力は、既に残されていない。
そのまま力なく、うつ伏せに倒れる響の傍にしゃがむと、フィーネは彼女の髪を掴んで頭を持ち上げる。
「まあ、それでもお前は役に立ったよ。生体と聖遺物の初の融合症例。お前達という先例がいたからこそ、私は己が身を、ネフシュタンの鎧と同化させる事が出来たのだからなッ!」
フィーネは響の頭を鷲掴むと、その体を力任せに放り投げる。
「や……め……ろおおおおおおおッ!」
立ち上がった翔は、残る力の全てを込めて駆け出す。
しかし、ダメージの残る身体での疾走では間に合わない。
人形のようにダラリとなった響はそのまま投げられ、地面を転がり瓦礫へと叩きつけられた。その目には既に、光がない。クリスと純が倒れ、翼が特攻し、カ・ディンギルは破壊出来たものの、リディアンはボロボロだ。
諦めずに進もうとした先で心が……既に折れかけていた。
「フィーネええええええええええッ!」
足を止めず、そのまま握った拳を突き出す翔。
しかし、フィーネはそれを軽く避けると、バランスを崩した翔の背中に肘を叩き付けた。
「がはッ!?」
「融合症例第2号、お前のお陰でより詳細なデータを得る事が出来た。その礼に、二人仲良く痛め付けてやろうッ!」
肘打ちを当てられ、地面に横たわった翔の頭を掴むと、フィーネは響と同じ方へとその体を放り投げる。
普通の生活ではありえない軌道で宙を舞い、地面へと激突して転がる翔。
瓦礫にぶつかって何とか止まった時、視線の先には仰向けに横たわった響の姿があった。
「……ひび、き……かはっ……」
指先すら動かす力が残っていない。本当は今すぐにでも立ち上がりたい。横たわる響に向かって、手を伸ばしたい。
でも……もうそれだけの力も残っていない。
「…………翼さん、クリスちゃん。それから、純くんも……。さんにんとも、もういない……」
弱々しく呟く声が聞こえる。響の目から希望が消えていく。
翔は自らを引き込もうとする絶望に抗おうしていたが、既に身体が限界を迎えていた。
「学校も壊れて、みんないなくなって……。翔くん……わたし……わたしは何のために、何のために戦っているの……?」
「響……。俺達は……」
(まだだ……まだ、諦めたくない……。俺の心は、まだ……諦めてはいない……のに……)
最後に残った2人の装者は今、地に伏す寸前であった。
「……ん?」
聞こえてきた大勢の足音に、弦十郎はシェルターの出入り口を見る。
顔を覗かせたのは緒川、そして大勢の一般人だった。
「
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