第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第59節「シンフォギア」
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「……姉さん……ねえさぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」
「翼さん……あ、あ……あ……」
その身に変えて、発射直前のカ・ディンギルへと特攻した翼。爆煙が晴れた後、そこに残るのは輝きを失った魔塔の残骸のみ。
翔と響は揃って膝を着き、崩れ落ちる。
その叫びは虚しく、砕けた月の浮かぶ夜空へと消えて行った。
「天羽々斬、反応途絶……」
「ああ……」
歯を食いしばり、悔しさを滲ませる藤尭。顔を両手で覆って泣き始める友里。
翼による決死の特攻を、シェルターにいた全員が見届けていた。
「身命を賭して、カ・ディンギルを破壊したか、翼……。お前の歌、世界に届いたぞ……世界を守りきったぞ……ッ!」
弦十郎の声が、握りしめた拳が震えている。彼は司令であると同時に、翼の肉親だ。その悔しさは、誰よりも大きい。
「翼さん……ッ!」
「翼さんもまた、諦めない人だったという事か……」
恭一郎と飛鳥は、翼がその目に焼き付けた勇姿に涙する。
「わかんないよッ!?どうしてみんな戦うのッ!?」
そこで、未だ泣き止まずにいる弓美が声を荒らげた。アニメが大好きで、毎日常にその話しかしていない程の彼女が、この中で一番、日常を破壊され、非日常の只中へと突き落とされた一般人らしい感情を爆発させていた。
「痛い思いして……怖い思いしてッ!死ぬために戦ってるのッ!?」
「……分からないの?」
「え……あッ!?」
弓美を真っ直ぐに見て、その両肩を掴む未来。
その目に諦めの色はなく、強い意志が宿っている。しかし、そんな未来の目からも、一筋の涙が伝っていた。
「あ……あぁ……うぅぅ……うわあああああああああああああああああッ!」
未来の言う通り、彼女も理解している。戦場に散った彼女達が……まだ戦場に立つ二人が何故、戦っているのか……。
それを素直に認めた瞬間、様々な感情が綯い交ぜになり……彼女は泣き崩れた。
「ええいッ!どこまでも忌々しいッ!」
フィーネは瓦礫に鎖鞭を叩き付け、苛立ちを限界まで募らせていた。
「月の破壊はバラルの呪詛を解くと同時に、重力崩壊を引き起こす……ッ!惑星規模の天変地異に人類は恐怖しッ!うろたえッ!そして聖遺物の力を振るう私の元に帰順する筈であったッ!」
絶たれてしまった自らの野望を吐露しながら、フィーネは項垂れる二人の元へと近づいていく。
「痛みだけが人の心を繋ぐ絆……たったひとつの真実なのにッ!それを、お前がッ!お前達がぁッ!」
「ッ!それ以上響に近寄らせるかッ!」
フィーネの接近に気が付き、翔はふらつきながら立ち上がる。
しかし次の瞬間、フィーネの裏拳が翔の右頬にぶつけられた。
「ごッ!?」
ネフシュタンと融合した事で強化された筋力
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