暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第58節「ただ、それだけ出来れば──」
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る。
 翼がそれを跳躍して躱すと、鎖鞭は勢いよく地面へと突き刺さり、土煙を上げた。
「颯を射る如き刃、麗しきは千の花──ッ!」
 両脚の刃を展開し、向かって来る鎖鞭を弾き返すと、アームドギアを刀から大剣へと変形させる。

〈蒼ノ一閃〉

 一閃さえをも突き破り、鎖鞭が宙を舞う。
 爆発と共に掻き消える閃き。翼は着地すると、フィーネへと迫る。
「慟哭に吼え立つ修羅、いっそ徒然と雫を拭って──」
「くッ……!」
 その身を貫かんと迫るく鎖鞭。それを翼は、身を屈める事で避ける。
「なッ!?」
 一瞬の隙。フィーネの懐へと潜り込んだ翼は、その大剣を振るってフィーネを薙ぎ払い、カ・ディンギルの壁面へと叩き付けた。
「な……あッ!?」
 フィーネがカ・ディンギルの壁にめり込み、煙で視界を隠されたその瞬間、弟の戦いを横目に窺い続けた翼は、太腿を覆う鎧の裏に収納された小太刀を取り出し、投擲した。

「翔……後は任せるッ!」
 そして翼は天高く跳躍し、刀へと戻したその剣をフィーネへと投擲する。直後、投擲された刀は形を変えて、巨大な刀身を持つ両刃の剣へと姿を変えた。
 両脚の刃を展開させて、そこから噴き出すブースターによって加速。飛び蹴りの構えを取った。
「去りなさいッ!無想に猛る炎、神楽の風に滅し散華せよ──ッ!」

〈天ノ逆鱗〉

「ぐ……うう、はッ!?」
 迫る逆鱗に気が付き、フィーネは鎖鞭を幾重にも交差させ、三重に結界を重ねて張った。
 結界と衝突する逆鱗。大質量の刃物に、高度と加速力を乗せて放つ必殺の一撃を、三重結界は難なく受け止めている。
「その程度では、切っ先すら届かぬわッ!」

 しかし、翼の狙いは……フィーネではなかった。

(──防がれる事は織り込み済みッ!)

 拮抗し、宙で止められたままとなっているアームドギア。
 それをそのまま足場として、自身の体重を移動させることでバランスを崩させる。
 翼は更に二本の剣をその両手に握り締め、カ・ディンギルへと飛んだ。
「四の五の言わずに、否ッ!世の飛沫と果てよ──ッ!!」
 翼と構えたその双刃から、紅蓮の炎が噴き上がる。
 炎を翼と携え翔ぶ姿。まさしく不死鳥(フェニックス)の羽撃き。

〈炎鳥極翔斬〉

「く──ッ!初めから狙いはカ・ディンギルかッ!」
 だが、フィーネは結界を解くと、天高く昇ろうとする不死鳥を墜すべくその鎖鞭を振るう。
(あと少し……ッく、追いつかれ──)
 次の瞬間、鎖鞭は不死鳥の携えた両翼を掠め、飛び立とうとしていた翼を撃ち落とした。

 

「ぐッ!?……なんの、これしき……ッ!」
 砕けて飛び散るギアの破片と、剥き出しとなった生身の部分を切り裂かれ、滴る鮮血。
 翼がフィーネと戦ってい
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