第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第57節「男なら……」
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渡した。
「どんな困難にぶち当たっても、この言葉に力を貰った……。翔は確か、そんな事を言っていたっけ……」
「実際、僕もいい言葉だと思っている。確かに、諦めない事はとても難しく、それを貫き通せる人は中々いない。でも、諦めなければ夢は掴むことが出来る。それを成し遂げた人間を僕達は知っているだろう?」
「「ッ……!」」
恭一郎と紅介の脳裏に、純の姿が浮かんだ。
幼い頃から夢見た『王子様』を目指して、ただひたすらに自分を磨いてきた純。
他人からすれば、一笑に付されてしまうような夢。しかし、彼は諦めずに進み続け、そして今……その夢を叶えて散って行った。
その輝きは儚いものではなく、四人の友人達に強く刻まれていた。
「そう……だよな……。ああ、そうだよな!ここで諦めていられるかよッ!」
「純がここにいれば、絶対に諦めるような事はしない!」
「翔ならここで、いつものアレを言って動き出す所だよな!」
「いつものアレ、ですか?」
紅介の言葉に詩織が首を傾げる。
恭一郎、紅介、飛鳥、流星は互いに顔を見合わせると、同時にそれを口にした。
「「「「男ならッ!」」」」
「……男なら?」
え、その続きは?と言わんばかりにきょとんとする創世。
「翔のもう一つの口癖だ。毎回パターンが違って、バリエーションに富んでいる」
「毎回これ言う時、男らしさを問われる場面だからなぁ。今日の場合は『男なら、友を最後まで信じ抜け』とかじゃねぇの?」
「違いないだろう。なら、僕は小日向さんに賛成だ。僕らも翔を信じる!」
「さっきから盛り上がってる所悪いけど、あたし男じゃないもんッ!」
説明する飛鳥と紅介、恭一郎に、弓美から飛ぶド正論。しかし、正論でありながらもそれは後ろ向きだ。
その言葉に、飛鳥が論を返そうとしたその時だった……戦場に変化があったのは。
「く、うぅ……ッ!……はぁ、はぁ、はぁ」
跳ね飛ばされ、後ろ向きで地面を滑っていく翼。
ようやく止まるも次の瞬間、左の二の腕を覆っていたアーマーが砕け散る。
目の前には、今にも飛びかかろうとしている響と翔の姿があった。
「──ハハハッ!どうだ、大事な弟と未来の義妹に刃を向けた感想は?特に立花響と刃を混じえる事は、お前の望みであったなぁ?」
以前の、頑なだった頃の翼をダシに煽るフィーネ。真っ二つに裂けていたはずのその身体は、見る間にどんどん再生していく。
やがて元の通りにくっ付いた身体は、傷一つなく元通りになっていた。
翼はほくそ笑むフィーネを睨み付ける。
「……命を断たれたはずなのに。人のあり方さえ捨て去ったか」
「私とひとつになったネフシュタンの再生能力だ。……面白かろう?」
しかし、再び元の通りになったのはフィーネの肉体
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