第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第57節「男なら……」
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グゥウ……。……ガアアアアアアッ!」
「ぐうッ!?」
跳躍し、襲いかかって来た二人の腹に刃の背を当てる。
後方へと吹き飛ばされた二人は宙で体勢を立て直すと、そのままスライディングしながら着地した。
「「ウウゥ……、──ウゥアアアアアアッ!」」
「翔ッ!立花ぁッ!」
翼を新たな敵だと認識し、襲い掛かる二人。
もはや獣としか呼べなくなってしまったその姿に、翼は──。
「ああッ!?どうしちゃったの響ッ!風鳴くんッ!元に戻ってッ!」
暴走し、翼を襲う二人を見て未来が叫ぶ。
「オイオイオイオイ!何か、ヤベェ事になって来てねぇか!?」
紅介も頭を掻きむしり、目を見開いている。
そんな中、弓美は俯きながら呟いた。
「……もう、終わりだよ、あたし達」
「え……」
「学院がめちゃめちゃになって、響もおかしくなって……」
「終わりじゃないッ!響達だって、わたし達を守る為に──」
「あれがあたし達を守る姿なのッ!?」
『ウァアオオォ……ッ!』
涙目で叫ぶ弓美。画面を見れば、そこには変わり果てた響と翔が、破壊衝動のままに暴れまわる姿が映し出されている。
「あ、ああ……」
創世、詩織も怯えた表情で、黒く染った響を見ている。
「確かに……アレじゃあまるで……」
「紅介ッ!その先が僕の想像通りの言葉だったら……僕は君を殴らなくちゃいけない……」
紅介の言葉を見越したように、恭一郎がその襟首を掴む。
紅介は歯を食いしばってその言葉を飲み込むと、恭一郎を睨んで答える。
「分かってんだよ!でもよぉ……じゃあどうすりゃ良いってんだ……?」
「それは……」
黙り込んでしまう恭一郎。しかし、その沈黙を破ったのは──未来だった。
「……わたしは響を、風鳴くんを信じる」
その肩は震えている。瞳も恐怖で揺れている。それでも、未来は響らを真っ直ぐに見据え、静かにそう言った。
「う、ううぅ……あたしだって響を信じたいよ……。この状況も何とかなるって信じたい……。……でも……でも──ッ!」
「板場さん……」
遂に膝を着き、両腕で顔を覆い頭を抱えてしまう弓美。
「もうイヤだよぉッ!誰かなんとかしてよぉッ!怖いよぉ……死にたくないよぉッ!助けてよぉッ!響ぃ……ッ!」
弓美の絶叫と嗚咽が、狭いシェルターの中にこだまする。
誰もが彼女にかける言葉を失っていた。──そう、思われた時だった。
「……諦めるなッ!」
その声に、一同の視線が集中する。
弓美が顔を上げると、目の前にいたのは、膝を着いて自分に視線を合わせる飛鳥だった。
「……翔の口癖だ。生前の、奏さんからの受け売りだと聞いている」
「え……?」
ポカン、と口を開ける弓美。その隣に流星がしゃがみ、ハンカチを手
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