第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第57節「男なら……」
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ァァッ!」」
次の瞬間、2人の姿は完全に影に覆われた。
赤い双眸でフィーネを睨み、牙を剥き出し咆哮する。
その雄叫びに、周囲の地面が砕けて飛び散る。
フィーネは2人を見て、狙い通りだとでも言うようにほくそ笑んだ。
「……翔ッ!?立花ッ!?おいッ!二人とも、しっかりしろッ!!」
翼の声も聞こえていないらしく、2人は唸り声を上げて背を曲げる。
「融合したガングニールと生弓矢の欠片が暴走しているのだ。制御出来ない力に、やがて意識が塗り固められていく」
「あ……まさかお前、二人を使って実験をッ!?」
翼は以前、了子が言っていた言葉を思い出す。
響と翔の胸に宿る聖遺物の欠片は、それぞれ体組織との融合が進んでいると。
あの時は、信頼する了子が軽々しく口にするものだから、危険性は無いものと思っていた翼だが、今思えばそれは敢えて口にしていたのだと分かる。
「実験を行っていたのは立花とお前の弟だけではない。見てみたいとは思わんか?ガングニール、そして生弓矢に翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を」
「お前はそのつもりで二人をッ!……奏をッ!!──ッ!?」
「「ウウゥアアアアアアアアッ!」」
その瞬間だった。地面を蹴り、獣と化した二人がフィーネへと飛びかかった。
2人の拳は、フィーネの鞭にあっさりと止められる。
フィーネがそのまま鞭を振り下ろすと、2人は吹っ飛ばされ地面に激突した。
「翔ッ!立花ッ!」
「もはや、人に非ず。今や人の形をした破壊衝動……」
「「ウウゥゥ……ガアアアッ!」」
再び飛びかかる二人。フィーネは2本の鎖鞭を幾重にも交差させ、結界を張った。
〈ASGARD〉
「ウウウウウゥゥゥウウッ!ガアアアァァァッ!」
「グウウウウウウゥゥッ!アアアァァァアアァッ!」
紫電を散らしながらも、結界に拳を押し当てる響。
同じくその硬度を力ずくで突破すべく、その脚を突き立てる翔。
次の瞬間、2人は結界を突き破り、フィーネへと突撃した。
土煙が上がり、強烈な風圧が戦場を駆け巡る。
煙が晴れるとそこには……頭頂から中腹までがネフシュタンごとチーズのように裂け、左腕が肩口から削ぎ落とされたフィーネの姿であった。
(フィーネを、一撃で……ッ!?)
しかし……フィーネはギョロリ、と2人の融合症例の方を見ると、ニタリと笑みを浮かべた。翼は絶句する。
「ハァー……ハァー……ハァー……」
「フーッ……フーッ……フーッ……」
「──ッ!やめろ翔!もうよせ立花!それ以上は、聖遺物との融合を促進させるばかりだッ!」
翼の声に、二人はゆっくりと振り返ると……その姿を、真っ赤に染まった眼で睨み付けた。
「ウ……。……ウアアアアアアッ!」
「
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