第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第56節「守るべきものがある、それが真実」
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形を変える装備だ。
本来ならばこのブースターは、その推力でパンチの威力を引き上げるためのもの。しかし、純はそれを最大限まで引き上げたジャンプ力と併用する事で、クリスの元へと届かせようとしていた。
「跳んだんじゃない、飛ぼうとしてるんだ!」
「馬鹿め!改良されたとはいえ、RN式は所詮、玩具以下のガラクタ!届くはずが──」
「届かせる……!届けてみせるッ!この鎧が、僕の思いを力に変えるものならば……僕は絶対にッ!クリスちゃんの元へと辿り着くッ!」
純がそう叫んだ時、その場にいる全員の耳に歌が聞こえ始めた。
声なき歌。前奏のように響くそれは……爽々波純の胸の内から溢れていた。
「fly high──ッ!」
瞬間、ブースターの推力が上がり、純の身体はどんどん空へと登って行く。
「なッ!?馬鹿な、届くというのかッ!?」
「まさか……純の歌が、RN式の性能を引き上げている……!?」
精神力で稼動するRN式は、装者の歌で力を発揮するFG式と違い、機能的に見れば歌う必要性は皆無とも言える。
しかし、それでもやはり歌には力がある。純は、クリスの絶唱を真似して唱えたその唄で、自らの精神を強く持つことで、自らが纏うRN式の力を引き上げていた。
また、RN式という名の"シンフォギア・システムそのもの"には意味が無いとしても、コアに使われている聖遺物の欠片そのものに全く効果を及ぼしていないわけではない。
聖遺物は元々、フォニックゲインで起動する。12年前の翼がそうであったように……または、2ヶ月前の響がそうであったように。純の唄った真似事の絶唱が、聖遺物そのものに影響を及ぼしうるフォニックゲインとなり、胸の内より歌を呼び起こしたのだ。
そして、引き出された聖遺物の力はRN式の性能を向上させ、今、現行のシンフォギアと並ぶ力となって、純の身体を包んでいた。
「届けぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
やがて、カ・ディンギルからの砲撃を追い抜き、イチイバルの全力射撃を超える。盾の形状を円形に切り替えると、裏面のグリップを左手で握った。
負荷に耐え切れなくなったアームドギアがとうとう破壊される。しかし、純はその瞬間を逃さず、一瞬でクリスの前に飛び出すと盾を構えた。
「ッ!?……ジュン……くん……?どうして……」
隣に並んだ純に驚くクリス。すると純は、いつもの爽やかな笑みと共に答えた。
「約束したからね……迎えに行くって。クリスちゃんが、自分のやるべき事を見つけたって言うのなら……それを隣で支える事こそ、僕のやるべき事だッ!」
「ッ……!!」
円形……即ち、神話通りの形状となったアキレウスの盾を中心に、黄緑色のバリアが広がる。
永劫不朽の刃のエネルギーにより放たれ
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