第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第56節「守るべきものがある、それが真実」
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され始める、イチイバルの一点収束砲撃。
このままカ・ディンギルの砲撃を受け止め切れなくても、展開させたエネルギーリフレクターの機能を応用させれば、威力を拡散・減衰させる事はできる。そうすれば、月の破壊は防ぐ事ができるのだ。
目に浮かぶのは父と、母と、そして二人に手を繋がれて歩いて行く幼き自分の後ろ姿。
もう、彼女に後悔はない。だって自分は今、両親から確かに受け継いだ夢を叶えようとしているのだから。
(ごめん、ジュンくん……。これは、これだけはあたしにしか出来ない事なんだ……。ここであたしがやらなきゃ、フィーネの思うツボだからな……。だから、ごめん……あたし、『ただいま』は言えないかも──)
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl──」
「……え?」
大地を駆け抜ける力強い足音と共に聴こえたその唄に、翔が驚いて振り向くと、そこには……RN式アキレウスを起動し、カ・ディンギルの壁面を全力疾走で登って行く親友、純の姿があった。
「純ッ!?」
「爽々波のやつ、何を……ッ!?」
「あれって、絶唱……!?」
「馬鹿なッ!RN式に絶唱は使えないはず……」
そう。プロトタイプとはいえ、RN式は響や翼のシンフォギアとは違い、フォニックゲインを用いない設計だ。大元が同じとはいえ、そのコンセプトが異なっている以上、その歌に意味は無い。
だが、それでも純はそれを歌い続け、人類最速の名を持つその脚で、カ・ディンギルの途中まで駆け上がると、その壁面を足場に跳躍し、空中で宙返りしながら、踵部のブーストジャッキを最大伸縮させる。
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl──」
唄いきると共に、先程までフィーネが立っていた、崩れ残っている校舎の屋上を足場にすると……残っていた校舎が完全に崩れ落ちる程のブーストをかけて、天高く跳躍した。
「「跳んだッ!?」」
「いや、あれは……ッ!」
跳躍した純は左手を天へと掲げる。その左腕に装備された盾は次の瞬間、その形をブースターへと変えた。
聖遺物『アキレウスの鎧』は、鎧だけでなくその盾も含めてワンセットの防具型聖遺物である。世界そのもの、そして万物の対極を表す『アキレウスの盾』は使用者の意思を反映し、その
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