暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第54節「カ・ディンギル出現」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
見てようやく、その場にいる全員が確信した。櫻井了子の正体が、フィーネであるという現実を……。
 
 
 
「防衛大臣の殺害手引きと、デュランダルの狂言強奪。そして、本部に偽装して建造されたカ・ディンギル……。俺達は全て、櫻井了子の掌の上で踊らされてきた……」
 主電源を奪われ真っ暗になった本部の廊下を、懐中電灯を手にした藤尭、地図を持った友里が先行する。その後ろには、緒川に支えられた弦十郎、そして未来が続いていた。

「イチイバルの紛失を始め、他にも疑わしい暗躍は、いくつかありそうですね……」
「それでも、同じ時間を過ごして来たんだ。その全てが嘘だったとは、俺には……」
「司令……」
 弦十郎の言葉に、緒川は答えを返せなかった。
 その気持ちは彼も同じだ。しかし、自分以上に共に過ごした時間が長い弦十郎は、他の面々以上のやるせなさを感じている事だろう。
 それを慮ると、何も言えなくなってしまった。

「甘いのは分かっている。……性分だ」
 俯き、下を向きながらゆっくりと歩き続ける弦十郎。
 その目に映るのは、果たして何なのか……。それを窺い知る事の出来る者は、誰もいない。
 
 
 
「……嘘ですよね?そんなの、嘘ですよね?だって了子さん、わたしと翔くんを守ってくれました!」

 響は、デュランダル護送任務の際の出来事を思い出しながら反論する。

「あれはデュランダルを守っただけの事。希少な完全状態の聖遺物だからね」
「嘘ですよ……。了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本物の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食い尽くされた。……いや、意識は12年前に死んだと言っていい」
「どういう意味だ……!?」

 翔の疑問に、フィーネは間を置かずに答えを返す。
「超先史文明期の巫女フィーネは、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者が、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ。12年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた……。その目覚めし意識こそが、私なのだッ!」

「あなたが……了子さんを塗り潰して……」
「まるで、過去から蘇る亡霊……」
 驚愕する響、睨み付ける翼。そして翔は、言葉を失っていた。

「はははッ。フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った私達は──パラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期に、いつも立ち会ってきた」
「──ッ!?シンフォギア・システム……ッ!」
「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための、副次品に過ぎぬ」
 翔の言葉に、フィーネは嘲る態度で返す。どうやら彼女にとって
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ