第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第54節「カ・ディンギル出現」
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だって事は話したよな?」
「うん……」
「それは姉妹校である、アイオニアンも同じだ。研究が頓挫して今は破棄されてるけど、地下シェルターの何処かに、二課本部のエレベーターホールへと繋がる通路が残っているはず……」
「アイオニアンに!?」
「翔、それは本当か!?」
驚く翼に、翔は頷く。
「以前叔父さんに聞いたんだ。もし、二課が何者かに占拠されるような事があったら、そこを使って侵入出来るって……」
「さ、流石師匠……。抜け目がない……」
翔は純の方を向くと、その顔を真っ直ぐに見つめる。
「純、この中で一番戦闘経験が浅いのはお前だ。だからこそ、お前に任せたい。……アイオニアンの地下から、二課へと向かってくれ」
そして純もまた、翔を真っ直ぐに見つめ返すと、力強く頷いた。
「それは大任だね……ああ、任されたよ。僕は僕に出来る事で、翔達を助けるよ!」
「それでこそだ、親友!」
一旦立ち止まり、翔と純は固く握手を交わした。
「ジュンくん……」
そこへ、クリスが神妙な顔つきで近づく。
純が握手を終えて振り向くと、クリスは言った。
「……リディアンに、小日向未来って奴がいるんだ。そいつは、こんなあたしを助けてくれて、あたしなんかの友達になりたいって言ってくれた……。あたしにとって、初めての友達なんだ。だから……」
「……わかった。必ず助ける。だから、クリスちゃんは心置き無く、フィーネと決着を付けてくるといい」
クリスの頼みに、純は頼もしく笑って応える。その顔を見たクリスは、純の背中に手を回した。
「じゃあ、行ってくる」
「ああ。行ってらっしゃい、だ」
「……それと、忘れ物だぜ」
そう言ってクリスは爪先立ちすると、純の顔にフィーネのアジトで拾った眼鏡をかけさせた。
「あ……ありがとう。ずっと昂ってて、眼鏡ないから落ち着かなかったんだ」
「やっぱあの趣味悪いバイザーなんかより、それかけてる方が似合ってるぜ」
「翔、僕が帰ってくるまで、クリスちゃんの事は頼むよ!」
互いに『行ってきます』のハグを交わし、笑い合った純とクリス。そして、純はアイオニアンの方角へと向かって行った。
「任せたぞ、純……」
「わたし達も──!」
「ああ、いざ往かん!敵はリディアンに在り!」
「フィーネ!首を洗って待っていやがれッ!」
そして装者達もまた、リディアンへと向かって行く。
決戦は、刻一刻と迫って来ていた。
「……んんっ……」
目を覚ました弦十郎が、ソファーから身を起こす。
「司令!」
「……状況は?」
「……本部機能の殆どが、制御を受け付けません。地上及び地下施設内の様子も不明です……」
「……そうか」
友里からの報告に、弦十郎は歯噛みした。
自分があの時、躊躇
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