第6楽章〜魔塔カ・ディンギル〜
第53節「リディアン襲撃」
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して回避。天井の一部を掴んで体勢を整え、その天井を足場にして加速する。
「はああああああッ!」
フィーネに躱された拳は、当たった床を砕く。
しかし、その衝撃波がフィーネのネフシュタンの一部に亀裂を走らせた。
「何ッ!?」
そのまま飛び退き、弦十郎の背後に回って距離を取る。
亀裂は即座に再生していくが、直撃すればただでは済まないと確信したフィーネは、弦十郎の背後を取ったこの瞬間を狙い、その鞭を勢いよく振り下ろした。
「肉を削いでくれるッ!」
しかし、振り返った弦十郎はノータイムでその鞭を両方掴むと、響が以前クリスにしたのと同じように、その鞭を引っ張ってフィーネの身体を引き寄せる。
「なッ!?」
「はあああああッ!」
下から振り上げられたその拳は、フィーネの腹部ど真ん中に命中し、その身体を天井まで高く打ち上げた。
〈俺式・剛衝打〉
「ぐは……ッ!?」
弦十郎の拳が直撃し、その背後まで吹き飛ばされ、フィーネの身体が床に叩きつけられる。
弦十郎は掲げた拳を下ろし、フィーネの方を振り返る。
「な、生身で完全聖遺物を砕くとは……。どういう事だッ!?」
「しらいでかッ!飯食って映画見て寝るッ!男の鍛錬は、そいつで十分よッ!」
フィーネを睨みながら、理路整然としないトンデモ理論をさも当たり前のように豪語する弦十郎。しかし、それで本当にここまでの戦闘力を手に入れたというのだから、この男は恐ろしい。その身一つで憲法に触れる戦闘力、とさえ言われる実力は伊達ではないのだ。
「なれど人の身である限り、ノイズには抗えまい──ッ!」
「させるかッ!」
ソロモンの杖を向けるフィーネ。しかし、それを許す弦十郎ではない。
震脚で床を破壊、その瓦礫を蹴り飛ばしてフィーネの手からソロモンの杖を弾き飛ばす。
フィーネの手を離れたソロモンの杖は、クルクルと勢いよく回って天井へと突き刺さった。
「な──ッ!?」
「ノイズさえ出てこないのなら──ッ!」
ソロモンの杖を失って動揺したフィーネの隙を突き、弦十郎は跳躍。拳を握り飛びかかる。
緒川と未来、2人が弦十郎の勝利を確信した……その瞬間だった。
「──弦十郎くんッ!」
「あ……」
その声と表情に、弦十郎はつい一瞬だけ戸惑った。
何故ならそれは、長年苦楽を共にしてきた友人のものだったから。
相手がもはや自分の知る彼女ではないとしても、弦十郎は彼女にトドメを刺す事を躊躇ってしまった。
そして、フィーネはその僅かな隙を逃さない。鎧の一部でもある鞭を刺突武器として、弦十郎の腹に風穴を開けた。
「司令ッ!」
「がはっ……ッ!」
鮮血が弦十郎の口から吐き出され、傷口から噴き出した血が床に血溜まりを作る。
「──いやあああああ
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