暁 〜小説投稿サイト〜
戦闘携帯のラストリゾート
挑戦者に手を引かれ
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いいよ!えっと、オレはここにいてもいいかな?」

 聞かれたくない話をするなら席を外すよ、という気遣いにわたしは頷く。

「わたしが怪盗だって知ってるんだし、気にしなくていい」
【おやおや? まさか男の子と逢引中でしたか? そのためにわざと通信を切ったんですかね】
「ワッツ!?」
「……馬鹿言わないで。サフィール、これの言うことは適当に流していいから」

 相変わらずのスズに通信が途絶えてからのことを説明する。キュービさんに似た女の子に出会ったこと、その子は一言も喋らなかったこと、話の途中で急に不自然な光景を見て取り乱してしまい、そこを今となりにいるサフィールに助けられたこと。
 そのサフィールは怪盗としての犯行を止めるために来たらしいということを出来るだけ詳しく話した。

【なるほど、思うところはいろいろとありますが。まずはサフィール君でしたね、この子を助けてくれたこと、お礼を言わせてください】
「えっーと……いいですよそんな。アッシュさんにも言ったとおり、オレもともと探してたのでむしろ助かったっていうか……」
【畏まらずとも構いませんよ。こちらのことはスズ、この子のことはラディと呼んでください】
「まあ、その方が慣れてるしね」
【具体的なお礼としては気になることなら遠慮なく聞いてくださいな。ラディのスリーサイズでも構いません】
「ほんとに!?」

 ガタっと音を立ててベンチから立ち上がるサフィール。その反応はなに。
 わたしの目線に気づいたサフィールは慌てて弁解する。

「いやスリーサイズが聞きたいわけじゃなくて!正直怪盗ってどんな人なのか気になってたから質問していいなら嬉しいってことだよ!?」
【では興味はこれっぽっちも全くありませんか?】
「そういうのはトップシークレットだしまして本人の目の前で聞きたいとか言えるわけないけど興味自体はあしくびが捻じれるううううう!?」

 サーナイトの目が光り、サフィールの足元が突然人の可動域を超えた場所に曲がった。……折れてないかな。というかリゾートではポケモンの力で人や物は傷つけられないはずなのに……自分のポケモンなら例外なのかな? 後で試した方がいいのかも。

【ラディ、気を付けてください。あなたの側にいた『模犯怪盗』が特殊なだけでこの通り男は狼なのです】

 わざとらしいひそひそ声で言うスズ。足を抑えて悶絶しているサフィールを横目にわたしはため息をついた。

「サフィールが狼ならスズは悪魔ね。サフィールが普通に教えてとか言ってたら引くけど、あんなの誘導尋問じゃない」
【おや、バレちゃいましたか】
「お茶目に言ってもダメ。サフィール、大丈夫?」
「た、たぶん……サーナイト、もうちょっと加減を……」

 サーナイトはそっぽを向いてしまった。
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