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戦闘携帯のラストリゾート
挑戦者に手を引かれ
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いているのをサーナイトが頭を撫で始めた。

「……ふふっ」
「笑われた!でも落ち着いたみたいで何より!ごめん、じゃあオレはもう行くね!そしてさっきのことは忘れて──」
「ううん、行かなくていいわ。この通りほんとはクールとは程遠い半人前だけど……わたしが、怪盗よ」

 真っ赤になって走りだそうとするサフィールをそう引き留める。このまま怪盗ってことは隠して別人のふりをしておいた方がよかったかもしれない。だからといってああして助けてくれた人にこそこそ嘘をつくのは……みんなを楽しませる怪盗とは、違う気がする。それに、嫌な人じゃなさそうだし。初対面の人と話して素直に笑えるのは、わたしにしては珍しい。
 彼はぐるっと振り向いて大きく息を吸った。

「よ、よかった……また姉さんたちに騙されたのかと思った……」
「姉さんたち、ね。わたしが怪盗って知ってるなら、やっぱりシャトレーヌ側の人?」
「……いや、オレは違うよ。ただ、君にとっては似たようなものかもね。……オレは、オレの手で君の犯行を阻止するためにここに来たんだ」

 何か含みがあるような言葉と共に告げられた、わたしの犯行を止めるという言葉。シャトレーヌ達もわたしを本気で止めに来るという話だから確かに似ている。

「それならさっきわたしが大人しくついてきてる間に手錠なりかけて警察に突き出せばよかったんじゃない?」
「オレの手で捕まえると宣言して、シャトレーヌじゃなくてオレが怪盗を捕まえる。……そうじゃなきゃ、ダメなんだ。変かな?」

 その声は真剣そのものだった。わたしが怪盗であることで追いつきたい人がいるように、サフィールもわたしを捕まえることに何か意味を見出してるような気がした。
 もちろんわたしは捕まるわけにはいかない……けど、その気持ちを否定するつもりはない。

「怪盗もわざわざ予告状を出してから盗みに入るんだもの。なにもおかしくないと思う」
「あ、それもそっか……とにかく、もし犯行までにキュービックに会ったら伝えておいてくれないかな。怪盗を捕まえるのはあなたじゃなくサフィールだとね」
「……わかったわ」

 キュービさんもまた会いたいと言っていたし、顔を合わせる機会はあるだろう。そう請け合ったとき、ポケットが震えた。

【……ラディ!聞こえますか!】
「うわっ、びっくりした!?」

 突然わたしのポケットから響いたスズの声に、サフィールが驚く。
 そういえば女の子と話している途中から繋がらなくなっていたけれど、今もとに戻ったんだろうか。

「スズ、そっちで何かあったの?」
【それが原因不明でしてね……スズと最後に話してから何があったか聞かせてくれませんか?】
「……うん。サフィール、ちょっと待ってて。わたしのナビゲーターに話をするから」

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