第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第52節「繋いだ手だけが紡ぐもの」
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ない戦法で翔を追い詰めようとしている。
しかし、速さと手数で上回ったところで翔も負けてはいない。ギアの扱いに加え、実戦経験では護身術を習っていただけの純よりも、何度もノイズと戦い、敗北が死に直結する修羅場を潜り抜けてきた翔の方が上だ。
殴打での攻撃を盾でカウンターされる事に気がつくと、フェイントを仕掛け、盾を構えた瞬間に押し蹴りで体勢を崩させ、その隙に素早い蹴撃を叩き込む。
ビル内を吹き抜ける風と、一撃一撃が決まる度に広がる衝撃波。既にオフィス内は散らかり放題。室内を台風が抜けていったような有様だ。しかし、接戦に見えた戦いも、スピードを除けば実の所純の方が押され気味であり、やがてその差はどんどん如実になっていく。
やがて、翔の蹴りが純の胸部アーマーのど真ん中に突き刺さり、純は後方へと勢いよく吹き飛ばされる。
壁にめり込み、そのまま崩れるように床へと落ちる。しかし、気絶することはなく、何とか意識を保って地に足を付けたその時だった。
純のRN式回天特機装束のメットパーツ、その耳当て部分が赤く発光し、音を立てて点滅し始めたのだ。
「ッ!?なんだ……!?」
翔は困惑した。まさか、自爆装置では……!?
しかし、その不安は直ぐに不要なものへと変わる。なんと、純の身を包むRN式の効力を表す虹色の保護膜が、揺らぎ始めたのだ。
(保護膜が消えかけている?……まさか、時間切れッ!)
翔の表情から、もう自分が戦える時間は長くない事に気が付いていると察した純は、人差し指を立てて翔へと向ける。
(あれは……メッセージ?人差し指を立てて……挑発するハンドシグナル……。『あと一撃で決着を付けよう』って事か……)
「いいぜ……。そのマスク、この一撃で破壊するッ!」
両者拳を握り締め、互いに睨み合う。
示し合わせたかのようなタイミングで駆け出すと、2人は互いの顔へと向けて、その拳を突き出した。
クロスカウンター……それぞれの腕が交差し、相手の顔へと放たれる渾身の一撃。
相手の顔に拳を入れる事に成功したのは……翔だった。
次の瞬間、メットのマスク部分に亀裂が走り、破損して床へと落ちる。やっと口を聞けるようになった純は、勝利した親友へと賞賛を送る。
「やっぱり翔はすごいや……。僕の意図をちゃんと把握して、それに応えてくれた……。本気でぶつかった価値はあったよ……」
「まったく……無茶振りしやがって……。俺がお前の意図を読めず、困惑していたらどうするつもりだったんだ?」
「それはないよ……翔なら絶対気付いたはずさ。僕が本気で殴って来るなら、君は僕に何かあるんだって察してくれるだろう?」
「やれやれ……この王子、俺の性格読んだ上で本気で殴ったのかコノヤロー」
苦笑いしながら、そのメットを外させる翔。
「
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