第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第52節「繋いだ手だけが紡ぐもの」
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と、その手に握り直してガトリング砲へと形状を変えさせる。
(……ったく、そこまで言われたら、あたしも引き下がれないじゃねぇか──)
胸の歌が聴こえる。さっきまでの、荒んだ心から生まれた激しい歌とは違う、優しくて温かい、新しい歌が。
(なんでなんだろ?あんなにグシャグシャだった心が、今じゃこんなにも温かい……。あいつらから差し伸ばされた手を握ったからか?……でも、あの時握った手は、そんなに嫌じゃなかったな……)
両肩に4本の巨大ミサイル。変形したスカートからはミサイルポッドが展開され、背中のミサイルは発射台の下にアンカージャッキが展開され、身体を支える。
クリスの身体中に光が、力が溢れ満ちていく。クリスの胸に燃える魂を形にしていく。
(こいつら倒して、純くんをこっちに引き戻すッ!そして、あたしは……ッ!)
発射までは、もう間もなくだ。
(誰も、繋ぎ繋がれる手を持っている……。わたしの戦いは、誰かと手を繋ぐことッ!)
殴り、蹴り、受け流して更に殴る。響はクリスの邪魔に入ろうとするノイズらを蹴散らしながら、胸の中で宣言する。
(叩いて壊すも、束ねて繋ぐも、力……。ふふ、立花らしいアームドギアだッ!)
決意に満ちた眼差しで戦うその姿に、翼もまた、研ぎ澄まされた刃で答える。
やがてクリスのギアに蓄積されたエネルギーが臨界を迎える。
2人はクリスの方を振り向くと、同時に叫んだ。
「「──託したッ!」」
(託されて──やらぁッ!)
「ぶっ放せッ!激昴、制裁、鼓動!全部ッ!」
空を見上げて胸に誓う。もう、自分の弱さに涙は零さない。だって、やっと見つけたんだから……自分の、本当にやりたい事を!
〈MEGA DETH QUARTET〉
「嗚呼ッ!二度と……二度と迷わない!叶えるべき夢をッ!」
嵐のように撃ち出される弾丸と無数のミサイルが、断罪のレクイエムとしてノイズ達へと向かって行く。
雑音共を千切り、爆ぜさせ花火とする。しかして穏やかで明るい、未来への歌が戦場には広がっていた。
残っていた2体の空中要塞型ノイズも粉々になり、街の空からは風に飛ばされていくばかりの炭塵が舞っていた。
やっと見えたと気が付けた、両親から託されたその夢を胸に、クリスはようやく全ての弾を撃ち尽くして銃口を下ろす。
この歌はきっと、彼にも届いているだろう。そして、天国から見守っているであろう両親にも……きっと……。
翔と純の戦いは、傍から見れば接戦であった。
アキレウスの鎧の性質により、高速戦闘で畳み掛けようとする純。更に、その左腕から展開された盾が、翔の得意とする打撃技を的確に弾き返し、拳を弾いたその隙に、その盾を鈍器に殴り付ける。能動的カウンターと素早い動きを組み合わせた、素人とは思え
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