暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第52節「繋いだ手だけが紡ぐもの」
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「純……!?なんで、どうしてお前が……!?」
 現れた鎧の少年は、ただ無言でこちらを見ている。
 翔は、こちらの声に答えない親友に問いかけ続ける。
「その沈黙は何だよ……答えろよ!なぁ!?」
「まさか……あのマスクで喋れないんじゃないかな?」
 響の言葉にハッとなる翔。
「そうなのか、純!?」

 その瞬間、純の鎧を虹色の保護膜が包み込む。
「ッ!?あの光は……」
「まさか、RN式!?」
 純は拳を握り、こちらへと向かって駆け出す。一瞬にして、純の姿が消えた。
「ッ!消え……」

 気がつけば、翔の身体が宙を舞っていた。
 あまりの速さに、勢いを乗せて飛び蹴りされたのだと気付くのにしばらくかかった。
「翔くんッ!」
「翔ッ!」
「くッ!?」
 吹き飛ばされる身体に向けて、前転からの踵が振り下ろされる。
 防御の姿勢を取った直後、交差させた腕で踵を受け止め直下のビル屋上へと叩きつけられる。
 ビルの天井と床に穴を開けながら2、3フロア分ほど落下し、ようやく止まる。
 空いた穴から見上げた友の顔は、仮面の裏に隠され、見る事は適わない。
「純……お前、いったい……」

「アウフヴァッヘン波形確認……こっ、この反応は……!」
 二課本部のモニターに表示されたその聖遺物の名前に、弦十郎が驚きの声を上げた。
「“アキレウスの鎧”……だとぉ!?」
 アキレウスの鎧。それはかつて日本政府が、国外から研究の為に譲り受けたものであり、RN式回天特機装束の開発に使うため、了子が利用を申請した聖遺物だ。
 それがいつの間にやら、未知のRN式回天特機装束として、敵の刺客に与えられているという現状。
 弦十郎は確信する。この一連の流れ、黒幕は友人にして二課の科学部門を担当する彼女……櫻井了子の仕業であると。

「アキレウスの鎧、か……。なるほど、その俊足も納得だ……」
 立ち上がると、穴からこちらを覗き込む親友を真っ直ぐに見据える。
 翔は彼の姿に、まるで自分が登ってくるのを待っているよう感じた。
(どうやら、操られているってわけじゃないらしいな……。って事は、何かワケありでフィーネ側についている、って事か。その上、マスクで口が聞けない。立花や姉さんを狙わず、わざわざ俺を狙っている辺り、俺に何かを訴えようとしているって考えてよさそうだな……)
 やがて、友は穴の縁から飛び込み、目の前に着地する。
 翔は通信機能で、他の面々に連絡する。

「皆、純は俺が何とかする。皆はノイズを殲滅してくれ」
『しかし、相手は未知の聖遺物を持つ相手だぞ?』
「親友の事は、俺が誰より分かってる。こんな事をするのは、何か狙いがあってやっているはずだ。だから1発ぶん殴って、あのマスクぶっ壊してみる」
『翔くん……無茶はしちゃダメ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ