第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第50節「カ・ディンギルの謎」
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ら、私も急いでそっちに向かうわ〜』
了子さんの声と共に通信を終えたわたしは、ポケットに通信機を仕舞いながら呟く。
「カ・ディンギル……。誰も知らない秘密の塔……」
「検索しても、引っかかるのはゲームの攻略サイトばかり……」
「う〜ん、なんなんだろう……」
検索をかけていた未来も首を傾げる。
翔くんに電話してみようかな?こういうの詳しいのは翔くんだし。
そう思ってケータイを取り出した時、ノイズ出現の警報音が鳴り響いた。
「さて……私の計画も、そろそろ大詰めね」
廃墟の非常階段。撃たれた腹部を押さえながら、櫻井了子は呟いた。
血に濡れた服、しかし痛む理由は傷ではない。その様子を見て、純が心配そうに声をかける。
「大丈夫ですか?」
「爽々波クン、あなた自分の立場を分かってるのかしら?私の計画よりも、私の身を心配するなんて、お人好しにも程があるわよ」
了子の呆れたような言葉に、純は苦笑いする。
「こればっかりは性分なので。……僕の役目は時間を稼ぐだけ、でしたよね」
「ええ、そうよ。東京スカイタワーに、シンフォギア装者達が突入出来ないよう相手してあげなさい。改良したとはいえ、聖遺物の力を解き放ったそのギアが安定稼働できるのは3分間。それ以上持たせられるのかは、あなたの精神力次第よ」
そう言って了子は立ち上がり、白衣の下から取り出したソロモンの杖を空へとかざす。
バビロニアの宝物庫から呼び出されたのは、旅客機のような姿の巨体を持つ、空中要塞型ノイズ。それを4体、街の上空へと放った了子は、念を押すように純へと言い放つ。
「私との契約を破って手を抜こうとしても無駄だから、その辺り覚えておきなさい。少しでも手を抜いたら、鎧の内側に仕込んだネフシュタンの欠片があなたの心臓を貫いちゃうし、私の目的が達される前に負けようものなら、ノイズ達に命じてクリスを集中攻撃させるわ」
「……やっぱりあなたは真性の魔女だ」
苦虫を噛み潰したような表情の純を見て、了子は笑った。
「なら、力の限り戦いなさい。あなたが誓った愛のために、ね」
了子が去って行くのを確認して、純はメットを被る。
自動でバイザーが降り、口を覆い隠すマスクが展開された。
『……頼むよ、翔。僕があの人との契約を完遂するには、君が本気で僕と戦ってくれないといけないみたいだからね……』
マスクの裏に封じられた言葉。それでも彼は、こちらの事情を一切知らずとも何とかしようと動いてくれるであろう親友に望みを託し、天高く伸びる塔へと向かって行った。
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