第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第49節「王子の行方」
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ャンスが大きくなる。夢を見る意味が大きくなる。お前の親は、ただ夢を見に戦場へ行ったのか?……違うな。歌で世界を平和にするって夢を叶えるため、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」
「なんで、そんな事……」
「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられるという揺るがない現実をな」
「あ……」
「お前は嫌いと吐き捨てたが、お前の両親は、きっとお前の事を大切に思っていたんだろうな」
そう言って弦十郎は、涙ぐみながら震えるクリスを優しく抱き締める。
それはまるで、娘をあやす父親の様に……。
それでも何とか堪えようとしていたクリスだったが、床に落ちている何かが、崩れ落ちた天井から射し込む太陽の光を反射して輝くのを見つける。
それは、ヒビが入った黒縁眼鏡。自分を助ける為に、その身を呈して庇ってくれた幼馴染が身に付けていたもの。
(夢……。そうだ、ジュンくんも……)
幼馴染の純も、自分の夢を……あの日の小さな約束を、ちゃんと叶えていた。
両親が伝えたかった想いに気が付き、その上で改めて実感した幼馴染の想いの丈。
溢れ出した感情の波は、クリスの心に巡らされた防波堤をとうとう決壊させた。
「う、うう……ああ……うッ、ひぐ……ッ!う、うわあああんッ!あああ、あああああッ!」
クリスは思いっきり声を上げて泣いた。
両親への謝罪と感謝を。幼馴染との約束を。夢の尊さを。
全てを胸に、ただただ溢れる感情を雫として、その目から流し続けていた。
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