暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第48節「君色に染まる空の下で……」
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ょう」
「最後は何処に行くつもりなの?」

 翼の質問に、未来は自信ありげに笑って答える。

「とっておきの場所に。きっと翼さんも気に入ると思いますよ」
「それは……ちょっと楽しみね」

 2人は会計を終えると、店の外で待っている恋人未満なカップル2人の元へと向かう。

 その様子を、影で忍びながら見守る人物がいる事を、街行く人々は誰も知らない。
 その人物が嬉しげに微笑んでいた事も、誰も知ることは出来なかった。

 

「遅いぞ、姉さん」
「はぁ、はぁ……。3人とも、どうしてそんなに元気なんだ?」

 俺達4人は街を見下ろす高台の上にある公園にやって来ていた。
 公園までの長い階段をどんどん駆け上がる響、未来、そして俺。姉さんは少し疲れた様子で遅れて登っていた。

「姉さんがへばりすぎなんじゃないか?」
「翼さん、今日は慣れないことばかりだったからじゃない?」
「なるほど。はしゃぎ疲れる姉さんは、確かに殆ど見たことないな」
「防人であるこの身は、常に戦場にあったからな……」

 小日向の言葉に納得しつつ、姉さんの言葉に俺は少し複雑な気分になった。

 姉さんがこうなってしまったのは、俺がこの世で一番嫌悪しておると言っていい程の存在であるジジイ……風鳴家当主、風鳴訃堂の存在が根底にある。とはいえ、姉さんの防人化が加速したのは親友であり、最高のパートナーだった奏さんの死による部分が大きい。
 奏さんという、姉さんを普通の女の子に戻してくれる数少ない存在がこの世を去って以来、姉さんは剣から人に戻れなくなっていたと言える。

 それが最近になって、ようやく良い笑顔を見せてくれるようになった。

 姉さんを変えてくれたのは、言うまでもなく立花だ。姉さんだけじゃなくて、立花は俺も変えてくれた。俺はその事に深く感謝している。

 だから……姉さんがはしゃぎ疲れているこの状況を、俺は心の底から嬉しく思った。

「ほら、響……」
「で、でも……」
「もう、今逃したらチャンスはないわよ?」
「うう……」

 未来が頑張れ、ってわたしの背中を押す。

 正直、未来と翼さんがお膳立てしてくれたのに、私はまだ緊張していた。
 夕陽に照らされた街を見下ろすこの場所で、翔くんに告白する。それが未来の立てた作戦の最後の仕上げだった。
 とってもロマンチックだし、素敵だと思う。でもやっぱり、いざ本番となると緊張が……うう……。

「ほら、響。いつもの魔法の言葉、思い出して」
「へいき、へっちゃら……へいき、へっちゃら……。……最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に!胸の響きを、この思いを、伝えるために!」

 頑張れ、わたし!頑張れ!
 翔くんに今日こそ、絶対に!胸の想いを届けてみせるん
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