第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第46節「大人の務め」
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いんですね?」
「む?まあ、そういう事になるけど……」
未来にそう言われ、翼は頷いた。
「でしたら翼さん、明日の休日、私達と出掛けませんか?」
「私達……つまり、立花と小日向と一緒にか?」
「ちょっ、ちょっと未来!やっぱり……」
何やら顔を赤らめて慌てる響を他所に、未来は続ける。
「あ、翔くんは荷物持ちお願いね?」
「え?俺もか!?こういうのは女子3人水入らずが定番なんじゃ……」
「まあまあ。いいですよね、翼さん?」
未来の提案に、翼は何やら考え込む。
やがて翼は未来の意図を察して、手をポンと打った。
「いいわよ。こんな機会、初めてだもの。翔もそれで構わないわよね?」
「あ、ああ……俺も特に予定はないし……」
「じゃあ、決まりね!」
こうして翌日、未来の計画が実行される事になった。
そう……荷物持ちと称して響と翔を連れ歩きつつ、翼にも息抜きをさせる。
そんな一石二鳥のデート作戦が、翔に気付かれない所で進みつつあった。
(……あたし、いつまでこんなとこに。これからどうすりゃいいんだ……?)
雪音クリスは廃アパートの一室にて、古ぼけた毛布に身を包み、体育座りしながら考え込んでいた。
周囲にはカップ麺やコンビニ弁当の容器、バーガーショップの紙袋、空になったペットボトルが散乱している。
ノイズを介して渡された食費。それは純が生きている事を証明したばかりではなく、あの時自分を守る為に残った純が、何らかの理由でフィーネの手駒になってしまった事を意味していた。
どうにかしてその真意を確かめたい。出来ることなら助けたい。
でも、やっぱりどうしても怖気付いてしまう。もしも、純と戦う事になってしまったら……。そうなれば彼女はきっと、引き金を引くどころか、銃口を向ける事さえ出来なくなってしまうだろう。
(ジュンくん……)
もう夕方だ。嫌でも腹の虫が鳴いてしまう。
しかし外は雨だ。傘も着替えもないのに外出すれば、きっと風邪をひくだろう。
どうしたものか……と考えていたその時、金属が軋む音と共にドアが開く音がした。
(──ッ!?誰だ、ここ、空き家じゃねーのかよ!?)
毛布から出ると、壁の影に隠れて拳を握る。
(怪しい奴だったらぶん殴って──)
近付く足音。様子を見ようと顔を覗かせた、その時だった。
「──ほらよ」
差し出されたのはコンビニのレジ袋。入って来たのは先日、彼女をノイズから救った男……風鳴弦十郎だった。
「えっ……?あっ……」
「応援は連れて来ていない。……君の保護を命じられたのは、もう俺一人になってしまったからな」
「どうしてここが……?」
ファイティングポーズで警戒を解かないクリスを真っ直ぐに見ながら、弦
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