暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第45節「一番あったかい場所」
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い。しかし、その一言だけでクリスは、これを送ってきた人間に気がついた。
 封筒の裏面に書かれたメッセージの内容は『You are my Princess』、このただ一言だけだった。
「ジュンくん……なのか?」
 どういった経緯なのかは知らないが、姿を見せない純から、ノイズを通じて贈られてきたメッセージと食費。
 それをぎゅっと握り締め、クリスは呟く。
「こんなモン寄越すくらいならさっさと戻って来いよ……バカ……」
 大事な人が生きていた喜びと、逢いたいのに逢えない悲しみ。
 それらが綯い交ぜになって、クリスは1人涙を流した。
 
 
 
「…………」
 そして、その様子をビルの上から見下ろしている何者か……背格好からして少年だろうが、その少年はソロモンの杖の持ち手を握り締める。
 その手は何処か悔しげで、やり場のない感情が掌から漏れだしていた。
 耳の部分に付けられた通信機から通信が入り、鎧の少年は通信に出る。
『用は済んだの?なら、そろそろ戻って来なさい』
「……本当に、契約は守ってくれるんですよね?」
『ええ。もうクリスに用はないし、あなたとの契約だもの。あと数日の辛抱よ、励みなさい』
 それだけ言って、通信は切れた。
 少年はもう一度だけ、食料を買いに街へと向かって行くクリスを見て……それからビルの屋上から飛び去った。
 自由を奪われ、声を封じられ、彼女を手にかけようとした女の計画に加担する。
 それで彼女を守れるなら、と。少年はそれを受け入れた。
 選択の余地は残されていなかったし、それが自分も彼女も生き残る為の方法だったからだ。
 仮に、もしもそれで自分が手を汚さないと行けなくなった時は……。
 少年は自らが最も信頼する男の顔を思い浮かべ、彼女の無事を祈りながら夜空を駆けた。
 
 
 
 その夜、リディアン女子寮の一室では、2日ぶりの微笑ましいやり取りが行われていた。
「おやすみ〜」
「おやすみなさい」
 二段ベッドの同じ段にて、響と未来が並んで寝ている。
 仲直りした2人は、またいつもの距離感に戻っていた。
「ぐ〜。ぐ〜……」
「えっ、早い!もう寝ちゃったの!?」
「……なーんて、えへへ、だまされた〜」
「あ、もうッ!響ったらひどい〜!」
「あはははは、くすぐったいよ未来〜」
 未来と2日ぶりにじゃれ合いながら、響は実感する。
(よかった、未来と仲直りできて……。ああ……やっぱり未来のいる所が、わたしにとって一番あったかい場所なんだ……)
「……ところで響、翔くんの事どう思ってるの?」
「ふえっ!?どっ、どどどどどうしたのいきなり!?」
「うーん、何となく?響と仲良さそうだったし、この前の話聞く限りだと今はどのくらい進展してるのかな〜って」
「ししし進展だな
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