第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第44節「陽だまりに翳りなく」
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たしは彼から退いた。
響と風鳴くんの鎧は、一瞬で光と共に消え、元の制服姿に戻る。
凄い技術だ……いったいどうなってるんだろう?
「しょっ、翔くん大丈夫!?」
「大丈夫だ、問題ない……。いやぁ、かっこよく着地するのも、かっこよく受け止めるのも難しいものだな……」
「いやいや、翔くんはかっこよく着地できるでしょ〜!」
「君の事だぞ立花」
「あ、そっか……」
「「「あははははは……」」」
気が付いたら自然と、3人で笑い合っていた。
何だか少し、不思議な気分。朝はあんなにギザギザしていた気持ちが、嘘みたいだ。
「それで小日向、無事か?」
「ごめんね未来、巻き込んじゃって。大丈夫だった?」
「あっちこっち痛くて……でも、生きてるって気がする。ありがとう、響なら絶対に助けに来てくれるって信じてた。風鳴くんも来てくれたのは意外だったけど」
「立花は小日向を助ける事を絶対に諦めない。それは小日向の方も同じだと思ったからな。俺は、その諦めない心に応えただけだ」
クールに返す風鳴くん。その横顔は確かに、お姉さんに似ている気がした。
「未来なら絶対に諦めないって信じてた。だって、わたしの友達だもん!」
友達。昨日あんな事を言ってしまったのに、響はわたしの事をずっと友達だと思ってくれていた。
その一言でわたしの目からは、熱い雫が零れ落ちる。
「……う、ううッ……。ひっく、う、うう……。──うわあああああああああん!」
「うわっとっとっとぉ!?」
抑えきれなくなった感情のままに、響に抱き着く。
勢い余って響が尻餅をつくことになっちゃったけど……あと一瞬視界の端で風鳴くんが顔を逸らしていたけど……わたしはそのまま泣き続けた。
「怖かった、怖かったの……ッ!」
「わたしも……すごい、怖かったよぉ……」
響も泣いているのが、声で伝わった。
わたしも、響も、もう二度と会えないんじゃないかって思ったのは同じだったみたいだ。
「わたし、響が黙っていた事に腹を立ててたんじゃないの!誰かの役に立ちたいって思ってるのは、いつもの響だから!でもっ、最近の響はわたしの知らない所までどんどん遠くへ離れて行っちゃうような気がして……わたしはそれがたまらなく嫌だったッ!また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してたッ!だけどそれは、響を失いたくないわたしのワガママだッ!そのワガママで風鳴くんまで傷つけて……。そんな気持ちに気付いたのに、今までと同じようになんて……できなかったの……ごめんなさい!!」
心の中につっかえていた物を、全部吐き出すように言いきった。
響も翔くんも、わたしがその思いを吐き終わるまでは、黙って聞いていてくれた。
響はわたしの両肩に手を添えて、わたしの顔を真っ直ぐに見つめる。
「未来……。それで
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