暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第43節「優しく差し伸べられた手を」
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られます」
 反論しようとする翼の言葉を、響の一言が遮った。
『姉さん、ここは俺と立花で何とかする』
「……わかった。任せたぞ、お前達!」
 通信機越しに弟からも言われては、引き下がるしかない。
 翼はリディアンに待機し、街のノイズを二人に任せる事にした。

 

 友達になりたい。
 初めての言葉に、クリスは戸惑っていた。
 会ってそんなに経ってない、しかも初めて会った時に吹き飛ばした相手が自分に返したのは、心からの優しさだった。
 その優しさをどう返していいのか、どう受け止めればいいのか、彼女は分からないのだ。
「……。……あたしは、お前達に酷い事をしたんだぞ?」
「え……?」

 ヴヴヴヴヴゥゥゥゥ────!!

「なんだ、この音!?」
「……クリス、外に急ごう!」
 未来はクリスの手を引いて、おばちゃんと共に店の戸を開いた。
 商店街の通りは、悲鳴を上げながら逃げ惑う人々の波ができていた。
「おい、一体何の騒ぎだ!?」
「何って……ノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの?おばちゃん、急ごう!」
「ノイズが……?……くッ!」
 未来とおばちゃんは、人々と同じ方向……避難所への道へと向かう。

 だが、クリスはその逆の方向……ノイズの現れた場所へと逆走して行った。
「あっ、クリス!どこ行くの!?そっちは──」
 未来の声などお構い無しに、クリスは人の波をかき分けて走る。
(──バカだ……、あたしってば何やらかしてんだ……ッ!)
 地面に放り捨てられた猫のぬいぐるみが、拾われることも無く踏まれ、転がっていた。
 クリスの向かう先に戻ろうとする人など、一人も居ない。脚を動かす理由はただ、落とし前を付けるため……。

 

(このノイズは……あたしのせいだ!あたしが、ソロモンの杖なんか起動させなければ!)
 商店街の外まで走り抜けると、クリスは息を切らしながら膝に手を付いた。
「はあ、はあ、はあ……。あたしのせいで関係のないやつらまで……。……あ、あああ……あああああああああああぁぁぁ……ッ!!」
 その瞳から大粒の涙をアスファルトに落とし、両膝を付いて空を見上げる。
「あたしがしたかったのは、こんな事じゃない──ッ!」
(戦いを無くすためなんて言って、あたしのやった事は──。関係ない奴らをノイズの脅威に晒しただけで──ッ!)
 助けてくれた未来とおばちゃん、そして逃げ惑う街の人々が浮かぶ。
「だけどいつだってあたしのやる事は……。いつもいつもいつも……ッ!」
 地面を叩き、嗚咽する。フィーネに捨てられた事よりも、フィーネに協力した自分の罪に心を苛まれていた。

キュピキュピッ!キュピッ!

「……来たな、ノイズども。あたしはここだ……だからッ!関係ない奴らの所
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