第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第43節「優しく差し伸べられた手を」
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純の欠席が3日続いたら、その時は見舞いに上がりますよ」
灰色の髪に切れ長の目、穂村とは対照的にクールな雰囲気をまとった友人、加賀美恭一郎の言葉に、翔は一瞬答えを迷う。
何時帰ってくるのか分からない以上、それはそれで困るのだ。
「分かった。でも、あいつが断ったら日を改めてくれよ?」
「無論、承知しているさ」
「ところで翔、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「ん?どうした、流星?」
普段から本を読んでいることが多い、物静かな雰囲気をまとう文系男子、大野流星が挙手しながら、翔へと問いかける。
「翔と純が、最近リディアンの生徒と一緒にいる所をよく見かけるって噂、本当なの?」
「えっ!?いやっ、それは……」
「こら流星、そういう質問はもっと静かにデリケートにだな!」
臆面もなくクールな顔で親友の男女交際について聞き出そうとする弟を、慌てて咎めるのは如何にも堅物そうな雰囲気をした双子の兄、大野飛鳥。俺と純がいつも絡んでいる友人4人は、いつもの様に俺の席の周りに集まって来ていた。
「兄さん、声」
「おっと……。とにかく、そういう質問はもっとデリケートに扱うものだぞ」
「でもよぉ、本当かどうか気になるじゃねぇか!なぁ、どうなんだ?本当なら、俺にも可愛い子紹介してくれよ!」
「うるさいですよ紅介。そもそも下心がダダ漏れです」
「んだよ!カッコつけてる癖にお前も彼女いねーのは、俺だって知ってんだぞ?」
「それは今関係ないでしょう!」
「まあまあ落ち着くんだ二人とも。それで、どうなんだい翔?僕もその話は耳にしている。君自身の話が嫌なら、せめて純の事についてくらいなら聞かせてくれないだろうか?」
飛鳥にまでそう言われちゃ仕方ない。チラッと話しておくとするか。
別に大して誤魔化す必要も無いからな。
そう思って俺は4人に、立花と小日向の話をした。特に立花の話になると、こいつらやたら食い付きが激しくなった。
「お前ら、何揃ってニヤニヤしてるんだ?」
「いやー?」
「別に」
「「なんでもないさ」よ」
「そ、そうか……」
((((分かりやすいなぁ……))))
その後しばらく、翔は無自覚に惚気けては4人をニヤニヤさせるのだった。
所変わってリディアンの屋上。手すりに寄りかかって黄昏れる響は、ぽつりと呟いた。
「未来……。無断欠席するなんて、一度もなかったのに……」
「何か、悩み事か?」
「翼さん……」
声をかけられ振り向くと、そこには松葉杖で身を支えながら歩いて来る翼の姿があった。
「相談になら乗ってやるぞ。私はいつか、お前の姉になるのだからな」
「あっ、あああ姉だなんてそんな!気
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