第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第42節「陽だまりと雪姫」
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いかと思って……』
『そうかもな……』
立花の言葉に、一昨日の雪音とフィーネの会話を思い出す。
あれは確かに解雇通告。利用価値が無くなった人間を切り捨てる悪党のセリフだった……。確かに、行くアテもなく彷徨っている可能性は高い。
そして純もまた、あれから戻って来ていない。いや、昨日の夕方にメールは届いたが……。
メールの内容は『クリスちゃんを発見。連れて帰るから待ってて』とだけ書いてあった。
しかし一晩経っても戻って来ないのは妙だ。今、メールの発信地を藤尭さん達が探している。既に場所は絞り込めており、黒服さん達を向かわせているらしいけど……。
『この件については、俺が直接現場で捜査を続ける。2人は指示があるまで待機していて欲しい』
『はい、分かりました……』
「了解……」
叔父さんが通信から抜け、後は俺と立花だけの回線となった。
「立花、あれから小日向とはどうなんだ?」
『それが、わたしより早く出たはずなんだけど、学校に来てなくて……』
「無断欠席か?今朝のノイズ、被害者は出てないらしいから、心配ないとは思うが……」
『うん……でも……』
立花は昨日、小日向と喧嘩してしまった事を語った。とても辛そうに、今にも泣きだしそうな声を、絞り出すように。
コミュニケーション不足が原因だとは思うが……こればっかりは、俺達二課のサポートが足りていなかったのも問題かもしれない。
せめて誤魔化すための法螺話くらいは授けておくべきだった筈だ。
そして、その相談を二課で唯一受けていたのは俺だけ……。叔父さんに話を持ちかけなかった俺の落ち度でもある。我ながら情けない話だ……。
「放課後、俺もそっちに行く。小日向探して、2人でちゃんと謝るぞ」
『うん……ごめんね。翔くんも、友達が行方不明で大変なのに……』
「気にするな。しかし……このタイミングで2人が無断欠席、か。案外、雪音クリスが関わっていたりするかもしれないな」
『え……?』
ほんの偶然、ただタイミングが重なっただけだとは思う。
しかし、立花がシンフォギア装者だと小日向にバレたのも、純が戻って来ないのも、一昨日の雪音クリスとの出会いを発端に始まった事だ。何かの因果関係を感じずには居られなくなってしまう。
「ただの妄言だ、真に受けなくていい。じゃ、また放課後にな」
『分かった。またね』
通信を終え、通信機をポケットに仕舞って教室へと戻る。
あ……純は今日も寝込んでるって事になるけど、あの4人になんて言われるかな……。
いつも集まってはバカ騒ぎで盛り上がる友人4人を思い出し、俺は純が休んでいる理由をどう誤魔化すか考えながら、教室へと入って行った。
暗闇の中を、雨に濡れながら、息を切らせて走る。
走
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