第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第42節「陽だまりと雪姫」
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夜を超え、ようやく見つける事ができた、この僕自身が!!」
「なるほど……。それがボウヤの考え方、ね。じゃあ、その愛とやらで私に勝って見せなさい!!」
フィーネの鞭が振るわれ、純はそれを避けるとフィーネの懐へと飛び込んで行った。
王子様を目指す少年は果たして、魔女に勝てるのか……。勝負の行方は──。
夜明け前からの雨の中、クリスは路地裏をふらふらと彷徨っていた。
一晩中、追っ手のノイズを迎撃しながら逃げ続けた彼女は、既に1日は何も食べずに街と館を往復していた。
既に体力は限界を迎え、足取りもおぼつかない。
遂にクリスはその場に倒れてしまった。
(……すぐに追いつくって……言った、じゃねぇか……)
自分を逃がしてあの場に残った純。彼が来ない事実に、最悪の展開を想像し……クリスは震えた。
(ジュンくんの馬鹿ッ!……本当は、一緒に逃げてほしかったのに……。そしたらあたしは、何処へだって……)
冷たい雨が頬を打つ。重なった疲労で全身が重く、濡れた衣服は肌に張り付いている。
既に立つ力さえ残っておらず、クリスは目を閉じた。
(全部あたしが悪いんだ……ごめん……ジュンくん……)
「あっ!?ねぇ、大丈夫!?……どうしよう、救急車呼ばなきゃ!」
「やめろ……ッ!」
傘を落として駆け寄ったその声に、クリスは反射的に口を開いていた。
目を開けると、つい先日巻き込んでしまった一般人……小日向未来が顔を覗き込んでいる。
「やめろって言われても……そんな……」
困惑した顔の未来に、クリスはそれでも病院への電話をやめるように伝える。
「病院は駄目だ……あッ、ぐッ……!ううぅ……ぅ……」
大人を信用出来ず、今やノイズに追われる身。クリスにとって病院へ行かない理由など、それで充分だった。
そして、言い終えるのと同時に、クリスは気を失ってしまった。
(この子、何か事情があるのかな……。でも、だったらどうすれば……あ、そうだ!)
未来は何やら思いついたように、気を失ったクリスの肩を支え、引きずるようにある場所へと向かっていった。
『ノイズですか?』
『ああ。市街地第6区域に、ノイズのパターンを検知している。未明という事もあり、人的被害がなかったのは救いではあるが……』
登校してからしばらく。叔父さんから通信が入った。
内容は、早朝にノイズ出現を検知した事だった。しかも、その反応は直ぐに消えたらしい。
「叔父さん?その含みのある言い方、まさか?」
『ああ。ノイズと一緒に聖遺物、イチイバルの反応も検知された』
『って事は師匠、クリスちゃんがノイズと戦ったって事でしょうか?』
『そうだろうな……ん?どうした響くん?』
『……あの子、戻るところないんじゃな
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