第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第42節「陽だまりと雪姫」
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「ジュンくん!?」
フィーネを思いっきり殴りつけ、純くんはあたしの方を見て叫んだ。
「クリスちゃん、今の内に逃げて!早く!」
フィーネは不意打ちで顎に一撃もらってふらついてる。逃げるなら確かに今の内だ。
でも、ジュンくんはどうする!?
「ジュンくんは!?」
「僕も直ぐに追いつく!だから信じて走れ!逃げるんだ!」
振り向いて叫んだあたしに、ジュンくんはそう返した。
その必死な目には、本気であたしを助けて追い付いてやる、という意思が宿る。
……そんな目で、そんな事言われたら……信じるしかないじゃねぇかよ……!
「ジュンくん……絶対だからなッ!いいな!!」
ジュンくんは強く頷くと、フィーネに向かい合って再び拳を構える。
「おのれ……逃がすか!!」
ソロモンの杖をあたしの方へと向けようとするフィーネ。
それをジュンくんがもう一度殴ろうとして、今度は止められるところまでは見ていた。
ギアを纏って助けないと、なんて考えはその時のあたしには浮かばなかった。
頭ん中がグチャグチャで、どうすればいいのか分からなかったあたしは、ただ、追ってくるノイズから逃げる事しか出来なかった……。
(ジュンくん……絶対、無事に戻って来いよ……!約束破ったら承知しないからな!!)
「やってくれたわね……」
そう言ってフィーネは、忌々しげに純を睨む。
「クリスちゃんは僕が守る。そう決めてんだよ……ぐッ!?うう……」
急に左手首を掴むと、痛みを堪えるように唸る純。
その左手を見て、フィーネは純が何をしたのかを察した。
「ボウヤ、さてはあの時砕けたネフシュタンの鎧の欠片を、自分の左手に纏ったのね?」
「アンタが回収する時、咄嗟に拾ったんだ……。そしたら欠片は、僕をこの場所まで導いてくれた。しかも、左手にずっと握ってたらか、アンタがクリスちゃんに迫った辺りで拳を握った時、欠片はこの形に……ぐううっ!?」
「ふぅん?でもそれ、体組織を侵食しちゃうから、と〜っても痛いと思うんだけど?」
「彼女が受けて来た苦しみに比べれば……彼女を救えるならこの程度、安いものさッ!」
力強く宣言する純。それを聞き、フィーネは嗤う。
「ハッ、やっぱり痛みだけが人の心を繋ぎ、絆と結ぶのね」
「バカ言うんじゃねぇよ。アンタみたいなのが絆を語るなんざ……2万年早いぜ」
「へぇ?じゃあ、ボウヤは違うって言うの?」
右手で逆ピースを向けながらそう言う純に、フィーネはそう返す。
すると純は胸に手を当てながら言った。
「絆ってのはな、痛みなんかじゃない……心で結ぶもんだ!相手を思ってその手を伸ばし、手と手を取り合い、そして繋げていく!それが絆、それが愛!愛こそが絆を結ぶ事を、僕はここに立つことで証明する!彼女を隠す
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ