第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第41話「どちらも思うは君のため」
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んっ!!」
その一言を最後に、未来は走り去って行く。
後ろでバタン、と昇降口がとじた音がした。
「……どうして、こんな……」
わたし、未来を泣かせちゃった……。わたしは、親友に嘘をつき続けた。
だから未来は、わたしの事……嫌いになっちゃったのかな……。
「いやだ……いやだよぉ……」
もう未来は、わたしの友達でいてくれないのかな……。
そう思うと、どんどん涙が零れてきた。
「うッ、ひッ、……ぅ、ぅあぁああぁ……ッ」
わたしの涙は屋上の床に落ち、嗚咽は青空へと吸い込まれて行った。翔くんが心配していたのって、こういう事だったんだ……。
翔くん……未来ぅ……。わたし、どうすればいいのかな……?
「確かにこちらからの依頼ではあるけれど、仕事が杜撰すぎると言っているの」
その夕刻、例の館ではフィーネが苛立ちを顕にした声で電話に出ていた。
互いに会話は全て英語。それだけで、相手は米国政府の関係者だと分かる。
「足がつけばこちらの身動きが取れなくなるわ。まさか、それもあなた達の思惑というのなら──」
『神ならざるものが全てに干渉するなど不可能。お前自身が一番わかっているのではないか』
これ以上は話しても埒が明かないと判断したフィーネは、そのままガチャリと電話を切った。
「……全く。米国の犬はうるさくて敵わないわね。いっそ用済みのクリスでもイチイバルごとくれてやろうかしら──」
バァンッ!
勢いよく扉が開き、そこへクリスが現れる。
「あたしが用済みってなんだよ!もういらないってことかよ!あんたもあたしのことを『物』のように扱うって言うのかよ!頭ん中グチャグチャだ!何が正しくて何が間違ってんのか分かんねぇんだよ!!」
「……どうして誰も、私の思い通りに動いてくれないのかしら……」
ゆっくりと椅子から立ち上がったフィーネは、ソロモンの杖をクリスの方へと向ける。
放たれたノイズが、クリスの前に立ち塞がった。
「さすがに潮時かしら……」
「なんでだよフィーネ……どうしてあたしを……?争いのない世界が作れるって、だからあたしは……」
「ええ、そうね。あなたのやり方じゃ、争いをなくす事なんて出来やしないわ」
「なっ……!?」
フィーネは静かに、そして残酷にその現実を突き付けた。
「せいぜいひとつ潰して、新たな火種をふたつみっつばら撒く事くらいかしら?」
「あんたが言った事じゃないか!痛みもギアも、あんたがあたしにくれた物だけが──」
「私の与えたシンフォギアを纏いながらも、毛ほどの役にも立たないなんて……そろそろ幕を引きましょうか」
フィーネの右手が青白く輝き、その身に光が集まっていく。
「その光……ネフシュタンの鎧を!?」
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