暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第41話「どちらも思うは君のため」
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、黙々とローストビーフを食べていた。
「……ここ、いいかな?」
「……」
 響の言葉にも答えず、彼女はただナイフとフォークを動かして、次の一口を進めるのみだ。
 響はチャーシューメンの乗ったお膳をテーブルに置き、未来の向かいに座った。

「あのね、未来、わたし……」

「何だかいつもと雰囲気が違うのですが?」
 振り向くとやって来たのは、安藤、板場、寺島の3人だった。
「どういうことー?よくわかんないから、アニメで例えてよ」
「これはきっとビッキーが悪いに違いない。ごめんねー、ヒナ。この子馬鹿だから許してあげてね」
 事情は分からないものの、何となく喧嘩した事だけは察した安藤が、茶化すようにそう言った。

「そういえば、音楽史のレポートの事、先生が仰ってましたが……」
「提出してないの、あんた一人なんだってね〜。大した量じゃないのに、何やってんだか」
「あはは……」
 さすがに翔に頼りっきり、という訳にもいかないと感じた響は、今回は翔に頼らずにレポートを進めていた。
 だが、度重なる任務により、彼女は全くと言っていいほどレポートに手を付けていなかったのだ。
 ……既に慣れている翼、並びに任務の合間でもしっかりレポートの提出はこなしている翔には、そんな悩みは全く存在しないのだが。

「ビッキーってば、内緒でバイトとかしてるんじゃないの?」
 安藤の何気ない一言に、未来の手が止まる。
「ええっ!?響がバイトぉ!?」
「それってナイスな校則違反では?」
「それかやっぱり、噂の翔くん。もしかして、毎晩こっそりデートしてたり〜?」
「えええええッ!?び、ビッキーってばいつの間に大人の階段を……」
 
 ガタンッ
 
 ナイフとフォークを置き、音を立てて席を立った未来は、そのまま何処かへと走り去ってしまう。
「あっ、未来ッ!」
 それを追って、響も行ってしまう。一口も手をつけられていないチャーシューメンをテーブルに残して。
「……もしかして私達、何かマズイこと言っちゃった?」
 険悪な雰囲気を崩すつもりが、悪化させてしまった事に気が付き、安藤達3人は顔を見合わせ、2人が走り去った先を見るのだった。
 
 
 
(──わたしが悪いんだ……)
 息を切らせて階段を上る。着いた先は屋上だ。
「未来ッ!」
 昇降口から外へ出ると、未来はそこで静かに立っていた。
「……ごめんなさい!」
「どうして響が謝るの?」
 こっちを振り向かずに未来はそう言った。
「未来はわたしの事、ずっと心配してくれてたのに、わたしはずっと未来に隠し事して心配かけ続けてきた……。わたしは……」
「言わないで」
「あ……」

 振り向いた未来は、泣いていた。
「これ以上、わたしは響の友達でいられない……ごめ
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