第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第40節「暗雲迫る陽だまり」
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じたんだからな!?」
「見た場所全部覚えてるじゃん!このスケベー!」
というか、この喧騒を眺めていると、そんな疑問はあっという間に掻き消されてしまう。
「……って、翔!お前、今聞き捨てならない発言が飛び出していた気がするが!?」
「誤解だ姉さん、あれは事故なんだ!」
「え?翼ちゃん、翔くんのお姉さんなんでしょ?小さい頃は一緒にお風呂入ったりしてなかったの?」
「さっ、櫻井女史!そそそういう話を持ち出すのはどうかと思いますが!?」
翼にも飛び火した騒動は、この後しばらく続いた。
「……ふむ。つまり、翔と響くんの体に問題は無いのだな?」
弦十郎の言葉でようやく騒ぎが静まり、ようやく翔の爆弾発言から始まった話が終わる。
「はいッ!ご飯をいっぱい食べて、ぐっすり眠れば元気回復です!」
「はい。俺もいつも通り、飯食って一晩寝れば何とかなりますよ」
「大丈夫よ、あなた達2人は可能性なんだから〜」
しかし、響の心には不安があった。
一番あっかいところで眠れれば、また元気になれるだろう。でも、そのあったかい親友は今、どんな気持ちでいるのだろう。
嘘をついていた自分に対して、怒っているのではないだろうか?
響と未来の関係は今、雲行きが怪しくなり始めていた。
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