第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第40節「暗雲迫る陽だまり」
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翔と響くんのメディカルチェックの結果も気になる所だが……」
そう。実は俺も、立花のついでにメディカルチェックを受ける事になったのだ。なんでも、この肉体に融合している生弓矢の状態を確認しておきたかったとか。
「少し疲れはありますけど、大きな怪我はありませんし、大丈夫ですッ!」
俺が自分の結果を答えるより先に、立花は元気いっぱいにそう言った。
うん……俺、やっぱりこんな風に、元気いっぱいの立花が好きだ。
「んー、そうねぇ。どれどれ?」
……と、その時だった。了子さんが指先で、立花の左胸をつんつん、と突っつく。
「にょああああああああああ!?なななな、なんてことをッ!?」
「了子さん!?また立花にセクハラして!!」
立花が悲鳴を上げながら胸を庇い、俺の背後に隠れる。
俺も反射的に立花を庇う構えを取ってしまい、了子さんはその様子を見て笑っていた。
「響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片が、前より体組織と融合しているみたいなの。驚異的なエネルギーと回復力はそのせいかもね」
「だからって立花の胸を突っつくことはないでしょう!?」
「え〜。でも翔くんがやると、問題でしょう?それとも私の代わりに翔くんが触診してくれるのかしら?」
「しょっ、触診ッ!?」
「ななななな、何のつもりの当てこすりですか!冗談にしても限度がありますよ了子さん!!」
立花の方を見ると、立花も俺の方を見て真っ赤になっていた。慌てて顔を逸らす。
了子さんめ……まさか、気付いててこんな事を言っているのか!?
だとすれば、なんという趣味の悪さだ……。俺達の恥ずかしがってる姿を肴に愉悦酒飲んでないだろうな!?
「融合……」
(聖遺物と人の融合……?そんな状態で、翔と立花の身体は大丈夫なのか?)
翼はふと、了子の言葉に疑問を覚える。聖遺物という異端技術の塊、それが人間の体組織と融合する事そのものに違和感はない。そういう事もありうるのだろう。
だがしかし、果たして人体にとって異物であるはずの聖遺物が融合して、その肉体にデメリットは存在しないのか。翼は考える。
(──いや、問題を孕んでいるのならば、櫻井女史が軽々に話題にする事は無いはずだろう。問い質す必要は無い筈だ)
聖遺物研究のプロである了子を信用し、翼はその疑問を振り払う。
「ところで翔くん、知ってるかしら?響ちゃんの胸の傷痕、翔くんが生弓矢を突き刺した時にできた傷痕と同じ形してるのよ〜」
「ちょっと了子さ〜ん……って、翔くんそれ本当?」
「あ、ああ……まあ、その……知ってるというか、なんというか……」
「へ?……って、ああー!!やっぱり見てたじゃん!翔くんのエッチ!!」
「だっ、大事な所は見てないと言っただろう!傷痕と鎖骨と肩以外が目に入る前に、なんとか顔を逸らしてドア閉
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