第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第40節「暗雲迫る陽だまり」
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でも知り合いみたいで……」
「爽々波純。雪音夫妻とは交友関係にあった音楽家夫婦、爽々波夫妻の長男ですね?」
「さすが藤尭さん。もうそこまで調べてたんですね」
藤尭さんは頷くと、現在スマホのGPSを追って捜索している事を教えてくれた。
もっとも、純はスマホの電源を落としているらしく、現在は街中の監視カメラを確認している状態らしいのだが。
「あいつは機密をバラすようなやつじゃありません。雪音を探し終えたら、きっと戻ってきますよ」
「ついでに彼が見つけてくれているといいんだけど……。まさか、雪音クリスと共に、イチイバルまで敵の手に渡っているなんて」
「聖遺物を力に変えて戦う技術において、我々の優位性は完全に失われてしまいましたね」
「敵の正体、フィーネの目的は……」
藤尭さんのボヤきに、友里さんも同意する。
ようやく姿を現した黒幕。しかし、その目的や正体に関しては、全てが未だ謎に包まれている……。
果たして、奴は何を企んでいるんだ?
雪音は確か、戦争の火種を消すとか、人類は解放される……とか何とか言っていたような気がするが……。
叔父さんも同じ事を考えているのか、ソファーに座って考え込んだままだし……。
「深刻になるのは分かるけど、うちの装者は三人とも健在。頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ?」
了子さんが笑ってそう言った。
やれやれ。こんな時にこそ、この人のマイペースさはこの職場を和ませる。ムードメーカーはやっぱり大事だなぁ。
「司令、戻りました」
そこへ、姉さんが入ってきた。叔父さんは姉さんの姿を見て、ソファーから立ち上がる。
「翼!まったく、無茶しやがって」
口ではそう言っているものの、叔父さんは何処か分かっていたような顔だ。
もうすっかりいつも通りな姉さんに、むしろ安心しているんだろう。
「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に伏せっているなど出来ませんでした!立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、私や弟と共に戦場
いくさば
に立つには十分な戦士に相違ないと確信しています」
「姉さん……」
あの姉さんが、立花を認めた……。
その事実に驚いていると、姉さんは俺達2人を交互に見てから笑った。
「完璧には遠いが、2人の援護くらいなら、戦場に立てるかもな」
立花が嬉しそうな顔で、姉さんに宣言する。
「わたし、頑張ります!」
「俺もだ。姉さんが本調子に戻るまでの不足分は、俺が頑張って埋めてみせる」
「頼もしいな、二人とも。それでこそ、私が背中を預けるのに相応しい」
姉さんの顔が、前よりもキラキラしている気がする。
もう姉さんは、孤独に戦う必要が無いんだ。そう思うと、ちょっと泣きたくなって来た。2人の前だから、絶対泣かないけどな。
「そう言えば、
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