第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第39節「迷子(まよいご)」
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だった。
最初は、兄が妹を弱いものいじめで泣かせたのかものと勘違いして拳を振り上げたが、兄を庇う妹の姿に理由を聞くと、迷子になって泣いていただけだと言う。
放っておけなくなってしまったクリスは、2人を父親の元まで送り届ける事に決めたのだ。
「…………ふん♪ふんふふんふん……♪」
「わぁ……。おねえちゃん、うた、すきなの?」
少女に言わて、無意識の内に口ずさんでいた鼻歌に気がつく。
「……歌なんて大嫌いだ。特に、壊す事しかできないあたしの歌はな……」
自嘲気味にそう返すクリスに、少女は不思議そうに小首を傾げた。
フォニックゲインや聖遺物と関係なく歌ったのは、いつ以来だろうか。
もう既にかなりの日数、歌っていなかった気がする。
そして歌えば、それはフィーネからの指示であり、シンフォギアや完全聖遺物の起動に使われ、その力は結局全てを壊してしまう。
自分のために歌わなくなっていたクリスは、いつしか自分の歌が嫌いになっていたのだ。
その歌が大好きだと言ってくれた人の、預かり知らぬ時間、預かり知らぬ場所で……。
「あっ!父ちゃん!」
気が付けばそこは、交番の前だった。
交番で警官と話していた男性が、2人に気が付き駆け寄って来る。
「お前達……何処へ行っていたんだ!ん、この方は……?」
「おねえちゃんがいっしょに、まいごになってくれたー♪」
「違うだろ、一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」
「すみません、迷惑をおかけしました……」
「いや、成り行きだったから……その……」
頭を下げる父親に、クリスはそっぽを向きながら答えた。
「ほら、お姉ちゃんにお礼は言ったのか?」
「「ありがとう!」」
「仲、いいんだな……」
仲良く2人で声を揃えてそう言った子供達を見て、クリスはふと呟いた。
「そうだ。そんな風に仲良くするにはどうすれば良いのか、教えてくれよ」
クリスに聞かれると、子供達は不思議そうな表情で顔を見合わせる。
「そんなの分からないよ。いつもケンカしちゃうし」
「ケンカしちゃうけど、なかなおりするからなかよしー♪」
少女の無邪気な笑顔に、クリスは夕方戦ったばかりの、立花響と風鳴翔の言葉を思い浮かべる。
『ちゃんと話し合えば、きっと分かり合えるはず!だってわたし達、同じ人間だよ?』
その言葉と少女の言葉が、どこか重なる。
そして、その言葉を貫かせようと隣に立って支えていた翔の姿が、妹を守ろうと自分の前に立ち塞がった兄に重なった。
「……仲直りするから仲良し、か」
(話をすれば……分かり合えて、仲直りできるのかな……。あたしと、フィーネも……)
そして、突き放して来てしまった幼馴染の顔が頭を過る。
ノイズのせいで、ろくに話すことも出来なかった。それに、あん
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