第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第39節「迷子(まよいご)」
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がイケメンだな……。
「そうすれば、あんたの言うように人は呪いから解放されて、バラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」
雪音の縋るような声。しかし、フィーネと呼ばれた女性は溜息を吐くと共に宣告した。
「ふぅ……。もうあなたに用はないわ」
「な……なんだよそれ!?」
雪音の表情が絶望に染まる。それと同時に、その後ろにいる純の表情が険しくなった。
「フッ……」
フィーネが手を翳すと、彼女の掌から青白い光が放たれ、辺り一帯に散らばっていたネフシュタンの鎧の欠片が発光する。
やがてネフシュタンの鎧は粒子化し、フィーネの手元に集まっていくと、竜巻のように渦を巻きながら消失した。
そしてフィーネは、ソロモンの杖をこちらへと向ける。
次の瞬間、3体のフライトノイズが独楽のように高速回転し、木々を伐採しながら迫って来た。
「ハッ!やっ!」
「ハッ!」
姉さんの刃が2体を斬り伏せ、俺の一射が最後の1体を射抜いた。
その隙に乗じて、フィーネは柵を足場として、夕陽を背に飛び降りて行った。
「待てよ、フィーネェェェェッ!!」
フィーネを追って、雪音も飛び出していく。
シンフォギアで強化された身体能力で、雪音はあっという間に柵の下へと飛び降りて行った。
「待って!クリスちゃん!!」
「おい純!何処へ!?」
「クリスちゃんを放っておけない!あの娘は僕が連れ戻さなきゃ!」
そう言うと純は、1人で何処かへと走り去ってしまった。追いかけようとしたが、気を失ってしまった立花の方が心配だ。
迎えのヘリがやってきた音がする。純……お前は、どこまで……。
「反応、ロストしました。これ以上の追跡は不可能です」
クリスのイチイバルが発するアウフヴァッヘン波形をモニタリングしていた友里が報告する。
「こっちはビンゴです」
一方、クリスの身元を調べていた藤尭は、データベースからその資料を表示させた。
「雪音クリス、現在16歳。2年前に行方不明になった、過去に選抜されたギア装着候補の1人です」
「……あの、少女だったのか」
そう呟く弦十郎の表情は、何処か重苦しさを感じさせた。
果たして、彼は何を思っているのか……。今この瞬間の、彼の表情を知らない部下達に、それを推し量ることは出来ない。
彼が感じている責任は、彼一人が心に仕舞っていた。
夜の街中、雪音クリスは2人の子供の手を引いて歩いていた。
「えへへ、おててをつないでいると、うれしいね」
「は、なんだそりゃ。ほら、ちゃんとお父さんを探せよ」
「わかってるよ」
兄の少年と、妹の少女。小学生くらいの2人とクリスが出会ったのは、フィーネを見失い、途方に暮れながら歩き続けていたクリスが、子供の鳴き声を聞いたところから
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