暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第36節「ヒーローの条件」
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、その中の何れにも、憐憫(それ)を強く意識した瞬間は……。
「……ない、ですね」
「それじゃ逆にどんな感情、あるいは思いなら存在していた?」
「俺が立花に向けていた、本当の感情は……」
「俺の見立てが正しければ、それは恐らく……」
 
 思い出せ……。俺はあの頃……まだ俺が"僕"だった頃、立花に向けていた思いは……。
 
 再会して、ようやく掴んだ手で見つけた答えは……。
 
 俺の胸に宿る、この感情の名前は……!
 
「……支えたい、その手を取って進みたい、彼女の支えになりたい……」
「それらを総括する言葉、それらの思いに根ざした感情。それこそが答えだと、俺は思うよ」
 
 それは、愛。
 
 俺が生弓矢のシンフォギアを発現させた時に自覚した、強烈な感情。
 
 なのに俺は今まで、その愛がどんな形なのか分からなくて……小日向の一言に心を揺さぶられ、うっかり見失いかけていた。
 
 でも、今、この瞬間ようやく分かった。
 
 霧の向こうでボヤけていた形が、ここに来てハッキリと見えた。
 
 俺の愛の形、それはきっと……立花響という少女を、1人の女の子として愛する事!
 
 自覚した瞬間、俺の中で何かが弾けた。
 
『翔くん!』
 
 俺の名前を呼ぶ時、名前通り花が咲いたような笑顔になる彼女が好きだ。
 
『しょっ、翔くん!?』
 
 驚いて慌てている時の顔もまた、とても可愛らしい。
 
『ちょっと〜、それどういう意味かな翔くん?』
 
 不機嫌な時の膨れた顔は、ついつい指で突っつきたくなるし……。
 
『翔くん……』
 
 涙に曇っている彼女を見ると、ほっとけない気持ちが湧いてくる。
 
 繋いだ手の温かさ。撫でた髪の手触り。名前に違わずよく響く、朗らかな声。
 
 そして何より、デュランダル移送任務の最中……偶然とはいえ、抱き合って眠った時の温もりと感触。
 
 その全てがどうしても、俺を惹き付ける。
 
 2年越しの発展だ。気付くのに時間が掛かりすぎている。
 
 だけど、これだけの情報量なんだ。自覚するには充分すぎる……。
 
 俺、風鳴翔は……立花響が大好きなんだ。
 
 俺が立花に手を伸ばした理由はただ一つ。彼女を愛しているからだと理解した以上、胸に突き刺さっていた言葉の刃は抜け落ちていた。
 
 もう迷う事はない。今の俺がするべき事は……!
 
「ありがとうございます、千優さん!俺……ようやく答えに辿り着けた気がします!」
「それは何よりだ。では、縁があればまた会おう」
 サングラスをかけ直し、手を振る千優さんと別れると姉さんの病室を目指して階段をかけ登る。
 立花に伝えなきゃ……!今すぐに、真っ直ぐに!
 彼女自身
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