暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第35節「道に迷う者、導く者」
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ォークを手に取ると、ショートケーキを1口。
 それから、まだ冷めていない紅茶を啜ると、先ほどより柔らかな表情になっていた。
 やっぱり、甘味には人を笑顔にする力がある。こういう時には、カフェでお茶しながら話すのが一番だ。
「それじゃ、僕からの意見だけど……やっぱり、君は彼に謝るべきだと思う」
「そう、だよね……。わたしも、出来ることならそうしたいよ……。でも、頭の中では分かってるつもりなのに、わたしの心の中の黒い部分が溢れて来ちゃって……。気持ちの整理がつかないんだ」
「うん。それなら、いくつか質問するけど……君個人としては彼の事、どう思っているんだい?」
 親友の想い人が、かつて虐められていた親友を助けてくれなかった臆病者だった。
 その親友へ、深い愛情を向けている小日向さんの気持ちは、きっと複雑だ。
 それなら1つずつ質問を重ねて、絡まった疑問を解きほぐし、その複雑なパズルを分かりやすくして行けば、自ずと答えは見つけ出せるはずだ。
「う〜ん……。嫌い、ではないと思う。響に手を伸ばそうとしてくれた事は知ってるし、あの日の風鳴くんが感じていた恐怖も、わたしには理解出来る。直接見たわけじゃないけど、一度だけ勇気を振り絞って、前に出てくれた事も……」
「なら、その答えは?」
「……うん。やっぱりわたし、風鳴くんの事は嫌いじゃない」
 よし……っていうか、小日向さんの親友の想い人って、翔……君だったのか。
 って事は、翔の好きな子であり、中学時代のクラスメイトっていうのは、小日向さんの親友、立花さんって事になる。
 翔の抱いていた後悔が何なのか、ようやく理解した。
 立花さんがいじめられているのを見ていながら、校内ほぼ全ての生徒を敵に回すのが怖くて、足が竦んでしまった。
 その後悔がきっと、彼の「人助け」の根幹なんだろう。
『もう二度と』という衝動と、『あの日と違う』という自己満足。
 古傷を隠すため……ううん、乗り越えていくために彼が選んだのがそういう形だったんだ。
 だとすれば……。
「その彼の気持ちは、僕にもよく分かる。深い後悔の念を抱いた人間は、それを拭おうとするものだ。僕だってその1人だよ」
「爽々波くんも?」
「うん……。昔、家族ぐるみで仲の良かった女の子が居てね。その子はご両親と一緒に海外へ旅行に行って、行方不明になった。……あの時、僕があの子を引き留めていたらって、何度も後悔したよ」
「……その子のこと、好きだったの?」
「ああ……僕の初恋さ。だから、僕はあの子との約束を果たすために、こうして自分を磨いてるんだ」
 小さい頃、クリスちゃんと交わした約束を思い出す。
『大きくなったら、ぼくはクリスちゃんの王子さまになる。そして、クリスちゃんをむかえに行くよ』
 クリスちゃんに会えなくなって、毎晩の
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