第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第35節「道に迷う者、導く者」
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「……でも、わたしはまだまだ、翔くんに守られてばっかりです」
翼と2人、屋上に出た響は、俯きながらそう言った。
「デュランダルに触れて、暗闇に飲み込まれかけました。気が付いたら、人に向かってあの力を……。翔くんが止めてくれなかったら、どうなっていたのか……。わたしがアームドギアを上手く使えていたら、あんな事にもならずに済んだのかも、と思ってしまうんです」
「力の使い方を知るという事は、即ち戦士になるという事。それだけ、人としての生き方から遠ざかるという事なのよ」
そんな響を防人として、剣として生きてきた翼は真っ直ぐに見つめてそう言った。
「戦いの中、あなたが思っている事は何?」
その問いかけに、響は翼を真っ直ぐに見つめ返すと、力強く宣言した。
「ノイズに襲われている人がいたら、1秒でも早く救い出したいです!最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に駆け付けたい!そして……」
響の脳裏に、ネフシュタンの鎧の少女が浮かぶ。
少女とも分かり合いたい。戦うよりも、話し合いたい。今度出会った時こそは……響はそう、胸に固く誓う。
「もしも相手がノイズではなく『誰か』なら──どうしても戦わなくっちゃいけないのかっていう胸の疑問を、わたしの思いを、届けたいと考えていますッ!」
その答えを聞いた翼は満足そうに微笑むと、先輩としてのアドバイスを口にする。
「……今、あなたの胸にあるものを、できるだけ強く、ハッキリと思い描きなさい。それがあなたの戦う力──立花響のアームドギアに他ならないわ!」
「翼さん……。ありがとうございます!」
笑い合う2人の姿を西に傾き掛けた太陽が、優しく照らしていた。
「……なるほどね。親友の立花さんが好きかもしれない男の子に、酷い事を言ってしまったんだね」
「うん……。もう、頭の中ぐちゃぐちゃで、どうすればいいのか分からなくって……」
向かいに座る小日向さんは俯くばかりで、注文したケーキセットにもいっさい手をつけていない。
彼女、悩み始めるとズルズルと引き摺っちゃうタイプらしいから、今はそういう気分じゃないんだろう。
「う〜ん……そうだね。僕が思った事を聞いてもらってもいいかい?」
「うん……いいよ」
「ありがとう。っと、その前に。そのケーキセット、食べないと勿体ないよ?」
「でも……」
「『お腹空いたまま考え込むと、嫌な答えばかり浮かんでくる』……よく行くお好み焼き屋のおばちゃんの言葉だよ」
「え!?」
その言葉を聞いた小日向さんが、驚いたような顔を見せる。
どうやら、会ったことは無いものの、その店によく行っているらしい。
「驚いたよ……まさか、ふらわーにまで縁があったなんて」
「わたしも……。この街、意外と狭いんだね」
そう言って小日向さんは、ようやくフ
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