暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第33節「密かな不安」
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さんはなんでも完璧にこなすイメージがありましたから」
 畳んだ服と下着を仕舞いながら、立花が呟いた。
「……ふ、真実は逆ね。私は戦う事しか知らないのよ」
「え、何か言いました?」
 立花が聞き逃した姉さんの独り言を、俺は聞き逃さなかった。
 ……忌み子として嫌われ、剣として己を鍛える事だけに精進してきた姉さん。でも、それだけじゃない事を俺は知っている。自覚してないだけで、姉さんは結構可愛いんだ。
 確かに女の子として至らない部分はそこそこある。だから俺は、立花との交流が姉さんを変えていく事を望んでいたりするのだ。
 
「おしまいです!」
「すまないわね……。いつもなら、緒川さんがやってくれるんだけど」
 姉さんの言葉に立花が改めて驚く。
「ふええぇ!?親戚以外の男の人に、ですか?」
「…………ッ!?たっ、確かに考えてみれば色々問題ありそうだけど……」
 一瞬、姉さんの頬が赤く染まったのを俺は見逃さなかった。クソッ、スマホ取り出すの間に合わなかったのが惜しい……。
「姉さん、いつまでも片付けられないと、いつか緒川さんとスキャンダルになっても知らないぞ?」
「えっ!?翼さんと緒川さんって本当にただのアイドルとマネージャーなんですか!?」
 揶揄うつもりで言った言葉に、立花が意外そうな顔で便乗したもんだからたまらない。
 姉さんは耳まで真っ赤になって反論する。
「わっ、わわ、わたしと緒川さんは別にそんな関係ではないぞ!?たた、確かに私が小さい頃からいつも一緒に居てくれたが、それは護衛としての仕事だったからであって別にいいい、異性として意識した事などこれっぽっちも!」
「小さい頃、確か当時高校生くらいの緒川さんにプロポーズした件は今でも忘れてないぞ〜」
「子供の頃の話はやめてぇぇぇぇぇ!!あの時は小さかったからよ!そんな頃の話を持ち出さないでよ翔!!」
 あまりの狼狽え様に、俺も立花も声を上げて笑ってしまった。
 ああ、やっぱり俺の姉さんは可愛い。緒川さん、やっぱりあなた以外に姉さんと釣り合う男なんていないと思います。
 なので早く姉さんを嫁に貰ってください。俺が安心します。
 
 ──ふと、窓の外から視線を感じる。
 振り向くと、向かいにそびえるリディアンの校舎。その図書室の窓の奥に、走り去っていく黒髪の少女の姿を見た。
 あの髪型に白いリボン……まさか……!?
「悪い姉さん、直ぐに戻る!あとそのゼリー、早めに食べるんだぞ!」
「ちょっ、ちょっと翔!?」
「翔くん何処に!?」
 ゼリーの袋を花瓶の隣に置き、俺は病室を飛び出した。
 階段使って降りれば間に合う!何とかして、あの子に追いつかなくては!
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