第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第33節「密かな不安」
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「ただいま〜。はあ〜、お腹へったよ〜」
寮の玄関を開け、響はふらふらしながら部屋へと戻って来た。
「もう、帰ってくるなりなに?」
「いや〜、朝から修行するとやっぱりお腹空いちゃってさ〜」
響を出迎えた未来は、腹の虫を鳴かせる親友の様子に微笑みながら提案した。
「しょうがないなぁ。だったら、これからふらわーに行かない?わたしも朝から何も食べてないから、お腹ぺこぺこなんだ」
「ふらわーっ!行く行くっ!未来もお腹空いてるなら、すぐに行こっ!」
「ふふ、待って。すぐに出かける準備するから」
そう言うと、未来は自分の机に置いてある財布や部屋の鍵を取りに行く。
響は、口角からヨダレを垂らしそうになりながら、ふらわーの美味しいお好み焼きを思い浮かべる。
「はあ〜、ふらわーのお好み焼き〜。想像しただけでお腹が鳴っちゃうよ〜……」
その時、響のケータイに着信が入った。
「って、あれ、電話だ……誰だろう?……って、翔くん!?」
翔からの突然の電話に、慌ててケータイを落としそうになる響。
(翔くんからの初めての電話ッ!何の用だろう?待って待って、落ち着いて!深呼吸、深呼吸……!)
深く息を吸い込み、吐き出して、高まる動機を胸から感じながら電話に出る。
「も、もしもし……?」
『おはよう、立花。今、時間は空いているか?』
「え?どっ、どうしたの急に?」
『姉さんの病室までお見舞いに行くんだけど、一緒に来てくれないか?』
翔からの電話。それは、入院している翼のお見舞いへの誘いだった。
弟である自分だけでなく、あの時守った後輩の元気な顔も見せることで、翼を安心させておきたい……。それが翔の狙いだった。
『本当は緒川さんにも来てもらいたかったけど、今はちょうど任務中でさ』
「へ〜……緒川さんって、どんな仕事してるんだっけ?」
『調査部のリーダー、かな。拳銃片手にヤクザとか、反社会性力を相手にしては、悪い奴らの悪事の証拠を集めてくるのが役目なんだ』
「おお!?緒川さんのお仕事、映画みたいでかっこいい……」
改めて緒川の仕事内容を聞き、感心してしまう響。
その様子を思い浮かべたのか、翔は微笑む。
『それで、どうする?』
「もちろん行く!翼さんを元気づけてあげたいもん。その前に、お昼食べてからでもいい?これから未来とふらわーでお好み焼き食べてくるんだっ!」
『小日向とか……。それは大事だな。俺も昼飯を済ませてから合流しよう。2時に病院へ集合だ』
「わかった。また後でね」
そう言って通話を切ると、響はスマホをポケットに仕舞う。
「……ふー、ドキドキした〜……」
「響、どうしたの?」
振り返ると、既に支度を終えた未来が立っていた。
「ううん、何でもない。ただ、ふらわー寄った後に用事が出来た
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