TURN25 アフリカ戦線その二
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「あんな怖い奴いるかよ、他に」
「ではだ」
「連合国の奴等には負けたくねえな」
「その結果選択肢は一つしかなくなる」
「ドクツに助けてもらうしかないんだな」
「そういうことになる。私にしても不本意だがな」
ユリウスはここで苦い顔もロマーニに見せた。
「他国の手を借りるのはな」
「だよな。ユリウスさんはそうした考えだよな」
「しかしだ」
それでもだとだ。ユリウスはさらに言った。
「総帥は違うお考えだ」
「ムッチリーニさんはかよ」
「そうだ。あの方はドクツが好きだ」
「個人的な好みなんだな」
「多分にな。しかし国益も考えておられる」
何だかんだでイタリンのことを真面目に考えているムッチリーニだった。
「それを考えれば。やはりな」
「ドクツを組むことも大事なんだな」
「その通りだ。ロマーノ殿には不本意だろうがな」
「わかった。それじゃあな」
「ドクツと共に戦う」
ユリウスは確かな言葉でロマーニに告げた。
「そうして生き残るしかない」
「じゃあな。そうするか」
渋々といった顔で応えるロマーノだった。かくしてドクツ軍はイタリン軍を助け北アフリカに再度侵攻にあたることになった。そしてドクツの首都ベルリンでは。
海驢作戦の失敗と戦後処理を終えたレーティアが戻るとだ。オーストリアが彼女に言ってきた。
「ムッチリーニさんがです」
「何だ?通信でも来ているのか?」
「いえ、御本人が来られました」
そうなっているというのだ。
「直接このベルリンに」
「何っ、総帥御自身がか」
「はい、御会いになられますか?」
「いや、会うも何もだ」
驚きを隠せないといった顔でだ。レーティアはオーストリアに応えた。
「御本人が来られているのなら御会いしない訳にはいかない」
「その通りですね。それでは」
「しかし。まさか御本人が来られるとは」
「ううん、あの方もあれで申し訳ないと思ってるのよ」
グレシアが首を捻るレーティアに話す。
「今回の失態のことはね」
「確かにイタリン軍は弱過ぎるが」
「あの方にしても予想以上にね」
「イタちゃんは元々喧嘩はからっきしですけれどね」
ハンガリーが二人にこのことを話す。
「ですがそれでも今回は」
「あまりにも弱過ぎてか」
「はい、我が国の足を引っ張ったと申し訳なく思われていると思います」
「悪い方ではないからな」
このことはレーティアもよくわかっていた。ムッチリーニは少なくとも悪人ではない。
そして決して無能ではない。そうした人物なのだ。レーティアはそうしたこともわかっているのだ。
それでだ。グレシアとハンガリーの言葉を聞いてから言うのだった。
「来られているのならな」
「ええ、それじゃあね」
「御会いしましょう」
「ではです」
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