第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第30節「デュランダル、起動」
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る。
「は、はい……。わたし、デュランダルを掴んでそれから……。──ッ!?」
周りを見回すと、工場が半壊していた。
幸い煙が上がってる場所は少ないけど、デュランダルを握った後、わたしが何をしたのかは、その光景が充分に語っていた。
「これがデュランダル。あなたの歌声で起動した、完全聖遺物よ」
「あっ、あの、わたし……。それに、了子さんのあれ……?」
「ッ!そうだ、了子さん!あのバリアって……」
翔くんも怪訝そうな表情で、了子さんの方を見る。
「ん?いいじゃないの、そんなこと。三人とも助かったんだし……ね?」
了子さんはただ、悪戯っ子のように笑うと口に人差し指を当てて笑った。
すると、了子さんのポケットの中から端末の着信音が鳴る。
「……あ、はい。──了解。移送計画を一時中断し、撤収の準備を進めます。……あ、はい。デュランダルは無事ですが、それについては──」
端末で本部と通信しながら、了子さんは破壊された工場の後処理をしている職員さん達の方へと、歩き去ってしまった。
「あ……」
行ってしまった了子さん。わたしは、もう一度周りを見回して、デュランダルの力が壊してしまった工場を見る。
了子さんの言う通り……確かに助かったけど、あの力……。
わたし、もう少しであれを人に……。
「……立花」
名前を呼ばれて見上げると、地面にへたりこんだままのわたしに、翔くんが手を差し伸べていた。
自分で立ち上がろうかと思ったけど、疲れてるからか脚に上手く力が入らない。
さっきの事を思い出して、また恥ずかしさが込み上げそうなのを我慢して、翔くんの手を握る。
翔くんは優しくわたしを立ち上がらせてくれると、わたしの顔を真っ直ぐに見つめて来た。
「しょ、翔くん……?どうしたの?」
「……よかった。いつもの立花だ」
そう言って翔くんは、安心したように微笑む。
……ああ、そうだ。暗闇の中でもハッキリと聞こえてきた、わたしの名前を呼ぶ声は……。
「……ただいま、翔くん」
「ん?ああ……おかえり、立花」
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