第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第30節「デュランダル、起動」
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場一帯が吹き飛んでいたであろう事は想像にかたくない。
それを止めたのは、想定外に次ぐ想定外。響に手を伸ばした翔だった。
意識を塗り潰されるほどの苛烈な力を手放し、手を握っていてくれた少年の腕に抱かれて眠る少女と……そして、力に飲まれた少女が全てを破壊する前に、その手を掴んで引き留め、今は彼女を守るようにその身を抱き締め眠る少年を見て。
天才を自称する考古学者は、眼鏡を掛け直し、髪を再び結いながら呟いた。
「お互い、力を使い果たしてしまったみたいね。今はゆっくり、お休みなさい……」
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……なに……今の、力?
わたし……全部吹き飛べって、身体が勝手に……。
でも……温かい手が触れて……名前を呼ばれて……それから……?
「う、うう……」
目を開けると、まず見えたのは白いワイシャツだった。
次に、身体を包み込んでいるような温かい感触……人肌の温度が伝わる。
そして、背中に回された腕に気が付き、まさかと思いながら顔を上げると……小さく寝息を立てている翔くんの顔があった。
「……え?ふぇっ!!??」
どっ、どどどどどどうして翔くんの顔がここここここっ、こんな近くに!?
待って待ってよ待ってってば!近い、さすがに近いって!そっ、そそそそれになんか目元にかかり気味の前髪とか、その奥から覗く寝顔とか!あと顔近すぎてわたしの髪に息かかってるの伝わって来るとか、ここまで密着されてしかも背中に回された腕でしっかりホールドされちゃったら、翔くん細いのに結構筋肉あるのが分かっちゃったりして何だかもう色々大変っていうか!!
何が何だかさっぱり分かんないけど情報量が多すぎて、ちょっとわたしの中のキャパシティーがもう、無理、限界ッ!今すぐに離れないと爆発しちゃううううううう!!
「あ、目が覚めたみたいね〜。大丈夫、響ちゃん?」
「えっ!?あ、はっ、そのっ……はい……」
了子さんに見られ、慌てて翔くんの腕の中から抜けようとする。
すると、わたしが動いていたのがきっかけになったのか、翔くんがようやく目を覚ました。
「ん……んん〜……たちばな?」
「えっと……その、翔くん……?この状況はいったい全体どういう事情があって……」
「……ん?……ッ!?すっ、すまん立花!!それが俺にもさっぱり!!」
翔くんがようやく手を離してくれた。わたしも慌てて後退り、翔くんから離れる。
……ちょっとだけ、寂しさのようなものを感じた気がするけど、正直あれ以上密着し続けていたらわたし、恥ずかしさでしばらく口聞けなくなってたかもしれない。
「あらあら?何も覚えてないの?」
何だかいつも以上にニヤニヤしている了子さんにそう言われ、わたしはさっきの恥ずかしさを忘れるためにも記憶を辿
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